準大賞2作品を発表します。家庭画報創刊800号記念「家庭画報大賞」

2024年7月号から作品公募を開始した家庭画報大賞。「心を込めた私の手仕事」のテーマにふさわしい創意工夫を凝らした作品が、心温まるエピソードとともに数多く寄せられました。1次、2次の書類審査を経て、審査員の方々と家庭画報編集長、協賛4社による実物審査を通過し、栄えある受賞を果たした全10作品を発表します。

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〔準大賞〕
Dark Ages

髙山 静吾さん（兵庫県）

ベニヤ板で作られた壁は、煉瓦の写真にヘアマニキュアで着色を施し、古びた煉瓦の質感を演出。錆びたドラム缶は、金属製の貯金箱を火で炙り、職業柄身近にあったアルカリ性のパーマ液をかけたという。

まるで海外映画のワンシーンのような迫力ある作品。ポーカーに興じるギャングと、そこに乗り込んできた対抗グループが描かれています。

長年美容室を営む髙山さんは、閉店したあとの4～5時間、4か月ほどかけて制作に取り組みました。人形や車は和紙や厚紙でできており、すべて図面などは使用していません。紙製の衣服は胴体に合わせ大まかに裁断し、人形に着せながら細かい調整をするとのこと。巧みなはさみ使いに驚かされます。

女性のアップスタイルの髪型は、1本ずつこよりにした和紙を束ねている。●幅180×奥行き45×高さ60センチ（人形は高さ15～26センチ）

●審査員より

「人形の完成度が非常に高いです。作品の中で唯一の女性が、ボスのように葉巻を吸いながら腰かけているのもユニークで見入ってしまいました」（藤森さん）

「アメリカの映画を見ているような物語性のある作品。表情や持ち物、洋服の柄や色落ち具合なども素晴らしい」（コシノさん）

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〔準大賞〕
アルチンボルドに恋して
小西 佳恵さん（大阪府）

土台は肩パッドに布をかぶせたものを使用。髪の毛を模した華やかな実ものは、木玉やビーズに刺繡糸を巻き付けて制作した。

人の顔を果物や野菜で描くことで知られるジュゼッペ・アルチンボルドの代表作「夏」に出合ったことをきっかけに、18年続けている刺繡で同作の表現に挑戦しました。「各パーツを仕上げてから組み合わせたので、それぞれの高さや大きさなどのバランスを調整するのが難しかったです。土台の厚みを調整することで変化をつけ工夫しました」と小西さん。一つ一つの野菜や果物が丁寧に編み込まれており、その緻密な手仕事が評価されました。

編み込んだ野菜の表面に、さらにステッチを重ねることで、鼻筋や頰の陰影を見事に描き出している。体には本物の麦と、麻糸を使用。●縦41×横36×奥行き6センチ

●審査員より

「アルチンボルドの作品をよく見て制作されたことが伝わってきます。人を野菜で描いた衝撃の作品を、さらに刺繡で表現するという発想が面白いです」（藤森さん）

「原画を見事に昇華させた作品。毛糸ならではの立体感が印象的で、温もりや優しさが感じられます」（中山さん）

・明日は、優秀賞に選ばれた3作品をご紹介します。