エンターテインメント

人生、丸ごとエンターテインメント──映画で魅せた三山凌輝さんの新境地とは

2025.02.20

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今月の人 三山凌輝さん

「伝統ある朝ドラ、それも『虎に翼』という素晴らしい作品に携わらせていただいて、本当に恵まれているなと思います。直明を気に入ってくださった方が、アーティストとしてゴリゴリにラップしている僕の姿にショックを受けたというのも、“人生、丸ごとエンタメだ”と思っている僕にとっては、すごく面白い出来事でした。自分の中にあるものを、メディアを通して、その都度いろんな形で表現できて、とてもありがたいです」

にこやかにそう話す三山凌輝さん。昨年のNHK連続テレビ小説『虎に翼』で、純粋で家族思いな主人公の弟・猪爪直明を演じ、注目を集めました。

役との距離感を考えながらシンプルに共鳴し合う

俳優であり、7人組ダンス&ボーカルグループ「BE:FIRST」の「RYOKI」としても活躍する彼は、2月公開の映画『誰よりもつよく抱きしめて』でも幅広い表現力を発揮。

強迫性障害による潔癖症で、恋人を抱きしめたくても触れることすらできないジレンマと葛藤を抱えた絵本作家の青年・水島良城(よしき)を、繊細に演じています。


ジャケット、中に着たブルゾン、パンツ/クレージュ(エドストローム オフィス)ピアス/ミキモト(ミキモト カスタマーズ・サービスセンター)ほかスタイリスト私物

ジャケット、中に着たブルゾン、パンツ/クレージュ(エドストローム オフィス)ピアス/ミキモト(ミキモト カスタマーズ・サービスセンター)ほかスタイリスト私物

「オファーをいただいたときは、あまりに自分とかけ離れた役柄で、びっくりしました。でも、役者として嬉しかったです。役との距離感を考えながら、いかにシンプルに役と共鳴し合えるか、それをどれだけ具現化できるかというところに、やりがいや楽しさを感じるので。撮影があった去年の1月は、僕自身もいろんなことを考えるような時期だったので、内気で不器用な良城に、より深く寄り添えた気がします」

これまで蒔いてきた種をどんなふうに育てていくか

ちなみに主題歌は、BE:FIRSTが歌う「誰よりも」。本作のために書き下ろされた美しいバラードで、撮影終了後に三山さんがSKY-HIさんと詞を共作しました。

「役を通して見た景色や感じたことを、詞にちりばめました。役を全うしたうえで主題歌の制作にも携われるなんて、誰もが経験できることじゃないですし、自分が今までやってきたことが身になっているのを実感できて嬉しかったです。愛の話ではあるけれども、キラキラした恋愛作品というよりは、人間のいろんな感情が詰まったヒューマンストーリー。誰もが“自分にもこういうところ、あるな”と思える映画になっていると思います」

真っすぐな性格と意志の強さを感じさせる目が印象的な三山さんは、愛知県出身。「母親によると、頑固な子どもだったらしいです(笑)」。

スカウトを機に芸能事務所に入り、その後、俳優デビュー。ボーイズグループ発掘オーディションに参加し、BE:FIRSTのメンバーに選ばれたのは、2021年のことです。

実は人を信じやすい一面もあるという彼は、だからこそ「いい意味ですべてに疑いを持って、自分でしっかり考えるようにしています。自分はこう思うから、こうしますと、ちゃんと説明できることが大切」だと話します。

長期のヴィジョンも持っていて、「服が好きで、コーディネートやデザインを考えることが趣味なので、将来そういう分野でも仕事をしていけたら」と語る25歳。理性と情熱を併せ持った頼もしき実力派です。

経験から得たものを次にちゃんと活かしていきたいです──三山凌輝さん

今回の映画では、やはり音楽と俳優の両方で活躍している韓国のファン・チャンソンさん(2PM)とも共演。「仕事や生き方について、いろんな話ができました。感じることがたくさんあって、すごく有意義な時間になりました」。

今回の映画では、やはり音楽と俳優の両方で活躍している韓国のファン・チャンソンさん(2PM)とも共演。「仕事や生き方について、いろんな話ができました。感じることがたくさんあって、すごく有意義な時間になりました」。

「自分という人間を知ってもらう場をたくさんもらえた去年は、ある意味、いろんな種を蒔いた年だったと思うんです。そこで見えてきたこともあるし、確実にステージは変わってくると思うので、今年はそれをどう育てていくかを真剣に考える年になるのかなと。せっかく素敵な経験をたくさんさせてもらっているので、目の前のことをただ忙しくこなすだけじゃなく、豊かに生きるとは? みたいなことも考えながら、経験から得たものを次にちゃんと活かしていきたいですね。人生、マジで一度きりですから」

三山凌輝(みやま・りょうき)
1999年愛知県生まれ。俳優。BE:FIRSTのRYOKIとしても活躍している。近年の主な出演作は、映画『HiGH&LOW THE WORST Ⅹ』、ドラマ『往生際の意味を知れ!』『生理のおじさんとその娘』『虎に翼』など。パリで撮り下ろした『三山凌輝1st写真集 Gaze』が発売中。

映画『誰よりもつよく抱きしめて』

ⓒ「誰よりもつよく抱きしめて」HIAN /アークエンタテインメント

ⓒ「誰よりもつよく抱きしめて」HIAN /アークエンタテインメント

新堂冬樹の同名小説を、『ミッドナイトスワン』の内田英治監督で映画化。物に直接触(さわ)れなくなった水島良城(三山凌輝)と恋人の桐本月菜(久保史緒里)は、もどかしい思いを抱えながら同棲していた。ある日、月菜が働く絵本専門店に韓国人の青年イ・ジェホン(ファン・チャンソン)がスマホを忘れ……。

原作/新堂冬樹 監督/内田英治 脚本/イ・ナウォン
出演/三山凌輝 久保史緒里(乃木坂46)/ファン・チャンソン(2PM) 穂志もえか 永田 凜 北村有起哉 北島 岬 竹下優名 酒向 芳
URL/https://dareyorimo-movie.com/
全国公開中

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年03月号

家庭画報 2025年03月号

撮影/筒井義昭 スタイリング/朝倉 豊 ヘア&メイク/西村裕司 取材・文/岡﨑 香

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