〔特集〕名門ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が奏でる ベルリンの森の音楽会 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の「ヴァルトビューネ」。1984年に開催され、今や、ベルリンの夏の音楽シーンに欠かせない風物詩となっています。世界のクラシック音楽ファンからも「一度も見逃したくない」と注目され即完売となるステージでは、普段は見ること、聴くことができない名門オーケストラの楽団員の姿や演奏曲を楽しめます。40年を迎えた2024年の「ヴァルトビューネ」、さらに歴史に残る名シーンの数々を、ベルリン・フィルメンバーの声とともにお届けします。
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世界のクラシック音楽ファンも感嘆した
「ヴァルトビューネ」伝説のステージ
さまざまなスター指揮者、普段のベルリン・フィルではあまり聴くことのないテーマの演奏が楽しめる「ヴァルトビューネ」。楽団員にとっても印象的だったという回を振り返ります。
ベルリンの聴衆を熱狂させた小澤征爾の「ロシアン・ナイト」(1993年)、「ガーシュウィン・ナイト」(2003年)

「ロシアン・ナイト」(1993年)
ベルリン・フィルと長く親交のあった小澤征爾が初登場したのは1993年。「ロシアン・ナイト」をテーマにチャイコフスキーなどを指揮し、2万人の観客を沸かせました。首席指揮者以外が複数回登場するのは珍しいといわれる中、2003年の「ガーシュウィン・ナイト」も指揮。
「ガーシュウィン・ナイト」(2003年)
「2回とも演奏に参加しましたが、小澤さんが来ると観客もいい雰囲気になり、私たちもポジティブないい気分で演奏できるんです。人間的にも素敵な方でした(エヴァ=マリア・トマジさん)」。
ベルリン・フィルでは異例となるテーマで沸いた「ハリウッド映画音楽特集」(2015年)

ベルリン・フィルで2002年から2018年まで首席指揮者・芸術監督を務めたサー・サイモン・ラトル指揮の「ハリウッド映画音楽」。『E.T.』や『スター・ウォーズ』など誰もが知る映画の曲に盛り上がりました。
「テーマ性のある音楽の回は印象的ですね、皆様が音楽に合わせて踊っているのが、見ていて楽しいです(エマニュエル・パユさん)」
フランス音楽界の至宝、ジョルジュ・プレートルが登場「フレンチ・ナイト」(1992年)
名匠、ジョルジュ・プレートルが指揮した「フレンチ・ナイト」。ベルリオーズ、ラヴェルなどの名作が豊かに奏でられ、満場の聴衆はその世界観の虜に。
ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」では、病で右手の自由を失ったピアニスト、レオン・フライシャーがソリストを務めました(その後、最新医療と懸命なリハビリで2007年に40年ぶりに右手が復活)。
スターテノール歌手、プラシド・ドミンゴが指揮「スパニッシュ・ナイト」(2001年)
オペラ界の頂点に立つドミンゴが、母国「スペイン」がテーマの2001年に指揮者として登場。サラサーテ「カルメン幻想曲」やサルスエラ(スペインのオペラ)の曲など多彩なプログラムを指揮し、ベルリン・フィルから情熱的な演奏を引き出しました。
最後の「ベルリンの風」では、突然マイクを持って歌い始めるサプライズが。会場は感動と興奮の渦に。
天才パーカッショニストの超絶技巧に会場も大興奮「アメリカン・リズム」(2021年)

写真/Berliner Philharmoniker
オルガン・ピアノ奏者としても活躍するウェイン・マーシャルが指揮者としてベルリン・フィルデビューし、ピアノのソロも披露。また、世界最高といわれるマルチパーカッション奏者のマルティン・グルービンガーが登場。
パーカッシヴ・プラネット・アンサンブルのメンバーも加わった華やかなサウンドとベルリン・フィルとの共演でかつてないステージに。
(次回へ続く。
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