〔特集〕美味が待つ冬の湯宿へ 日本人の冬の旅の原点──それは、大地から湧き出る温泉に浸かって心身を整え、日本各地に産する美味に舌鼓を打つこと。非日常を感じながらも快適に滞在できて、その土地が誇る自慢の料理に出合える温泉宿を、厳選してお届けします。
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天童牛の極上ヒレ肉をステーキで、すき焼きで
天童荘(てんどうそう)【山形 天童温泉】
明治初期に鰻料理店として創業、戦後まもなく天童温泉に移転して温泉旅館となった「天童荘」。今も和の平屋造りを主とした全11室の小体な宿の形を守っています。
2階にあった洋室2室を1室にして誕生した「東亭プラチナスイート」のリビングルーム。K・クリント、P・ジャンヌレ、地元の天童木工などの家具が配されている。
客室は2タイプあり、「離塵境(りじんきょう)」は谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」の世界を体感できる空間、「東亭(あづまてい)」はベッドルームを備えた現代のライフスタイルに合った空間で、好みで選ぶことができます。
2024年10月にリニューアルされた女性用大浴場「苔の湯」。露天風呂の壁には青竹が張られ、庭には山形の特産品の苔が植えられている。
この秋に新装されたばかりの、檜の香りも清々しい大浴場で、あるいは部屋付きの風呂で、冷えた体を温めた後、二十四節気を取り入れた月替わりの天童荘懐石を客室でゆっくりといただきます。
節分の趣向を取り入れた2月の先付は、山形特産のおかひじきの真砂あえと春しいたけ。ますに入った八寸には山海の珍味を盛り込む。冬にはふぐ懐石、蟹懐石のコースも用意される。

天童牛「和の奏」シャトーブリアンすき焼き 天童ワイン割りした仕立て。湯気とともに赤ワインの豊かな香りが立ち昇る。山形伝統野菜で、根が甘い赤根ほうれん草、焼き麩、冬野菜などと、温泉卵をつけていただく。
コースの主役になるのは、名物の鰻のかば焼きと、国産飼料のみで育てられた天童牛「和の奏(なごみのかなで)」を使った一品。ステーキとともに最近人気を集めるのが、割りしたに天童ワインをたっぷりと加えた厚切りシャトーブリアンのすき焼き。
甘めの赤ワインは醬油との相性もよく、繊細で柔らかな天童牛のうまみを引き出します。
大型旅館の多い天童にあって、落ち着いた佇まいの外観。樹齢500年の五葉松が出迎えてくれる。
天童荘住所:山形県天童市鎌田2-2-18
TEL:023(653)2033
基本料金:1室2名利用で1泊2食付き1名4万1800円~ ご紹介した「東亭プラチナスイート」は同8万8000円~ 全11室 IN15時/OUT10時30分
(次回へ続く。
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