〔特集〕美味が待つ冬の湯宿へ 日本人の冬の旅の原点──それは、大地から湧き出る温泉に浸かって心身を整え、日本各地に産する美味に舌鼓を打つこと。非日常を感じながらも快適に滞在できて、その土地が誇る自慢の料理に出合える温泉宿を、厳選してお届けします。
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置賜(おきたま)盆地で育った米沢牛と“雪室野菜”を味わう
山形座 瀧波(やまがたざ たきなみ)【山形 赤湯温泉】

板蔵を移築し改装した客室「KURA04」。1階にリビング、2階に寝室があるメゾネットタイプ。蔵王石を切り出した露天風呂は、浴槽の底から湯が出てくる造り。硫黄成分が血流を促し、体の芯から温まる。
開湯930年以上の歴史ある赤湯温泉の老舗旅館で、2017年にリニューアルオープンした「山形座 瀧波」。湯守の管理のもと全客室に直接湯が届く“生まれたての十割源泉”を満喫できると、多くの旅人が訪れます。
連泊の方などにステーキに代わって出すすき焼き。米沢牛の肩ロースを山形市の老舗鋳物工房「菊地保寿堂」の鉄鍋で軽く焼き、根つきせりなどの伝統野菜や天然のきのこと一緒にいただく。

ステーキには脂身が少ない内ももの部位を使用。米沢牛の柔らかさと濃厚さを楽しめる。付け合わせは雪室でねかせた白菜のマリネ。「タケダワイナリー」の樽熟成した赤ワインと共に。
夕食は山形の旬の食材をふんだんに使用したコース料理をライブキッチンで楽しめます。2023年に料理長に就任した中川 強シェフは、新潟で日本料理とイタリア料理の研鑽を積んできました。
仕上げに地元の赤ワインで肉に香りをつける中川 強料理長。

米沢牛の内もも肉をオーブンで2時間ほどかけて火を入れたステーキ。
「ここ置賜盆地には米沢牛以外にも魅力的な食材が溢れています。昼夜の気温差が大きいので、米や野菜、果物の糖度が高くなるのです。素材の味を生かしながら『こんな食べ方があったのか』と発見がある料理を作りたい」と話します。
冬の間は本館横に「雪室」が建てられる。野菜を1週間ほど入れておくと、凍らないようにでんぷんが糖に変わり、いっそう甘みが増す。

米沢牛を使った「芋煮」や「米沢牛時雨煮」など、朝食でも米沢牛を堪能できる。ご飯はブランド米の「つや姫」。夕食の「夢ごこち」と食べ比べが楽しめる。
また山形の郷土料理にも注目しているそう。「この地に伝わる知恵と工夫を学びたいと思い、地元の85歳の方に乾きものや塩漬けなどの保存食を教えてもらいました」。郷土の味を守りながら、さらに進化させた新しい料理を堪能できます。
築350年の上杉藩大庄屋の屋敷を移築した本館のラウンジ。「スワンチェア」などの北欧の名作家具が美しく配されている。
山形座 瀧波住所:山形県南陽市赤湯3005
TEL:0238(43)6111
基本料金:1室2名利用で1泊2食付き1名4万7500円~ ご紹介した「KURA04」は同6万4500円~ 全19室 IN15時/OUT11時
(次回へ続く。
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