〔特集〕早春の大和路を行く 古都・奈良の椿 椿は日本原産で、文字どおり春を告げる花木。『万葉集』で初めて「椿」という漢字が用いられ、平城京の宮殿や貴族の庭園に椿が植えられたと伝わります。今も「文化としての椿」を大切に守り伝える奈良の人々や古刹を通して、世界に誇れる日本の椿文化を見つめたいと思います。
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『万葉集』ゆかりの“つらつら椿”
阿吽寺(あうんじ)【御所市古瀬】
飛鳥時代、持統天皇が巨勢寺(こせでら)に立ち寄った際、歌人である坂門人足(さかとのひとたり)が巨勢山の椿を偲んで詠んだ万葉歌にゆかりがあることで有名な阿吽寺。巨勢寺の子院の一つであり、椿の名所として「玉椿山」という山号がつけられている古刹です。
境内の奥へ進むと11月から3月に開花する「金花茶」 という名の中国原産の黄色の椿が1本だけ咲いている。その他の椿の開花時期は3月中旬から4月上旬。写真/中島洋祐〈アフロ〉
なだらかな坂の参道や本堂のまわりにはさまざまな樹齢や品種の椿が咲いています。本堂の裏山には、野生のヤブツバキの樹林が広がっており、今なお息づく万葉の風情が感じられる眺望です。
阿吽寺住所:奈良県御所市古瀬361
TEL:0745(62)3001(御所市観光振興課)
(次回へ続く。
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