連載「季節の香りを聞く」2月〈志野袋〉桜花
桜花(さくらこう)
おしなべて花の盛(さか)りに
なりにけり
山の端(は)ごとにかかる白雲山家集──西行法師──
選・文=蜂谷宗苾(志野流香道 第21世家元継承者)陰暦二月に入ると、二十四節気の始まりである立春を迎え、雪に覆われた吉野山にもどこか春の気配が漂い始めます。いずれ日本人の美意識の代表格、桜花が下千本から奥千本へと咲き誇るでしょう。
「桜香」は、その桜花の開花状況に合わせ、紀貫之、西行、紀友則の三首の歌によって組まれており、お香は「初春」「如月」「弥生」を、各四包ずつ用意し、その内一包は試香として各自記憶します。
出題は、その三種に主役の「花」を三包加え、計十二包打ち交ぜ、そこから二包取り除き計十包炷たき出します。馥郁(ふくいく)とした香りを通し、各々お花見をイメージしながら「下臥(したぶし)」「枝折(しおり)」や「尋花(じんか)」など、素敵な名目で答えていきます。
~志野流組香 四十組-五番~
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