〔特集〕早春の大和路を行く 古都・奈良の椿 椿は日本原産で、文字どおり春を告げる花木。『万葉集』で初めて「椿」という漢字が用いられ、平城京の宮殿や貴族の庭園に椿が植えられたと伝わります。今も「文化としての椿」を大切に守り伝える奈良の人々や古刹を通して、世界に誇れる日本の椿文化を見つめたいと思います。
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三名椿と椿名所を訪ねて──
奈良・名椿の古刹へ
古都に春を呼ぶ霊木として尊ばれた奈良の椿。「奈良三名椿」と呼ばれる名木をはじめ、大和路には数多くの椿の名所が残ります。
良弁椿(糊こぼし)──東大寺開山堂

お水取り本行が始まる3月初旬、日の当たる下から1輪咲き始めた良弁椿。ひと月後(4月2日)、樹形全体に見頃を迎えた折に、橋村管長猊下と訪ねた。
奈良三名椿の一つ、良弁椿は、東大寺二月堂の西に位置する開山堂に原木が植えられています。初代別当の良弁僧正をお祀りする開山堂に咲くことから「良弁椿」と呼ばれますが、花姿は、赤い花びらに白い斑が入るのが特徴で、糊をこぼしたように見えることから「糊こぼし」と呼ばれ親しまれています。

「良弁椿は樹齢300年とも350年ともいわれますが、定かではありません。自生のヤブツバキとユキツバキの自然交配ではないでしょうか」と橋村管長猊下。
開山堂は非公開ですが、開花時期は入り口の門か隣の四月堂から椿を垣間見ることができます。
東大寺開山堂住所:奈良市雑司町406-1
TEL:0742(22)5511
花の見頃:3月下旬~4月上旬
※例年12月16日の特別開扉以外は通常非公開
(次回へ続く。
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