名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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小島・小嶋(こじま・おじま)
「小島」という名字は地形由来の名字です。「小嶋」とも書くほか、「小嶌」と書くこともありますが、いずれも由来は同じで、「小さな島」に因む名字です。
こうした小さい島は各地にありますから、「小島」という名字も各地にあります。
さらに、「小島」は山の中や海に面していない地方にも広く分布しています。というのも、「島」とは海に浮かぶ島だけを指すわけではないのです。
いくら日本は島が多いとはいえ、人口から見ると島に住む人がそんなに多いわけではありません。
実は、平地や盆地の中に小さな山があると、そこも「島」といいました。もちろんかつては島だったものが土砂の堆積で陸地とつながったという場所もありますが、それとは関係なく、平らな土地にある小高い場所を、海に浮かぶ島に見立てて「島」というのです。
さて、こうして全国各地の地形や地名からうまれた「小島」ですが、高知県ではその大半が「おじま」と呼びます。また、岩手県や宮城県でも「おじま」が過半数を占めています。
もちろん、読み方によって由来に違いがあるわけではなく、いずれも「小さな島」に由来しています。なお、現在では「小島」の93%ほどが「こじま」と読み、「おじま」は7%程度しかありません。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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