知っておきたい女性のからだと健康 第2回(1)鏡を見たり、体を触ったりしたときに、ふと気になる肌の調子。皮膚科に行こうかどうしようか迷うことも多いでしょう。幅広い年代の女性の肌を診察し、治療している野村皮膚科医院の野村有子先生に、起こりやすい肌トラブル、年代別のスキンケアや入浴の留意点などについて伺います。
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「肌の悩み」
[お話を伺った方]
野村皮膚科医院 院長
野村有子先生
のむら・ゆうこ 慶應義塾大学医学部を卒業後、同皮膚科学教室に入局。水疱症や膠原病などの免疫疾患や皮膚がんの研究に携わる。その後、神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科に勤務し、皮膚の多様な病気の診断や治療を行う。1998年横浜市内に野村皮膚科医院を開業。2003年に市内で医院を移転し、アレルギー対応モデルルームやアレルギー対応カフェを併設。臨床試験にも積極的にかかわっている。
皮膚は全身の健康状態を表している
皮膚は人体の最大の臓器の一つで、その重さは体重の数パーセントから十数パーセントに及びます。皮膚の役割は、紫外線や微生物、ホコリなどの刺激から体を守ることです。また、触覚、痛覚のほか、温度や振動、圧力を感じる神経があり、外部環境の変化を伝えます。水分を保ち、汗を出すことで体温の調節もしています。
皮膚は全身の健康状態も表します。睡眠不足やストレスなどで肌が荒れたりくすんだりするだけでなく、皮膚のトラブルは、内臓の病気のサインの可能性もあるのです。
皮膚は年齢に応じて変化するため、それに合わせたスキンケアが必要です。
40代以降は、女性ホルモンの減少によって皮膚が乾燥しやすくなります。また、皮膚の老化によりシミやシワも増えてきます。「健康的な肌の美しさのピークは20代前半です。それ以降は衰える一方ですから、保湿や美白、シワのケアなどのスキンケア用品を少しずつ足していってください」。
更年期前後からは、顔だけでなく、全身の保湿ケアも心がけましょう。皮脂腺の少ないすねや腰、腕など特に乾きやすい部位には入浴後に保湿剤を塗ることで乾燥やかゆみを防げます。
また、皮膚に直接触れる肌着にも気をつけます。「素材は綿など汗を吸収するものを選びましょう」。皮膚が乾燥や汗で敏感になっているときは、肌着を洗う洗剤や柔軟剤に反応してかゆみを生じることもあるので、無香料など刺激の少ないものを使用します。
もしも、乾燥やかゆみがこれらの対策や市販薬で治まらないときは「普段からつけている化粧品や市販薬を一時休止して、様子をみてください」。それでもなお持続する皮膚の不調は早めに皮膚科で相談するのがベターです。
Check! こんな症状はありませんか? 皮膚科に相談すべき主な症状
[ ]皮膚の乾燥が続いている
[ ]かゆみが強い
[ ]発疹ができて、広がっている
[ ]皮膚が赤くなって熱を持ち、そこに痛みを感じる
[ ]皮膚の赤みが消えない
[ ]皮膚の腫れがある
[ ]シミが広がってきた、色が濃くなってきた
[ ]ほくろが大きくなってきた
[ ]水ぶくれがある
[ ]皮膚の一部が白くなっている
[ ]イボが増えてきた
[ ]皮膚に硬いできものができた
[ ]脱毛や薄毛が気になる
*皮膚の症状は内臓の病気の表れである場合がある。症状が続くときは皮膚科の診察を受ける
(次回へ続く。)
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