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「上野」の珍しい読み方。九州では「あがの」、三重県では「こうずけ」とも読みます

2025.02.19

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

上野(うえの)

「上野」という名字は、その圧倒的多数が「うえの」と読みます。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、「上~」という名字はその読み方が「うえ~」と「かみ~」に分かれることが多いのです。

例えば「上村」や「上山」は、「うえ~」と読むものと「かみ~」と読むものの両方が多いのです。地域によって偏りがあるため、特定の地域ではどちらかに集中していますが、基本的には本人に確認しないと読み方がわかりません。

それらに対して、「上野」や「上田」はほとんどが「うえ~」と読むため、読み方を間違えることはあまりありません。


さて、「上野」の由来は地名です。

東京にも「上野」という地名があるように各地に「上野」地名があり、それらから「上野」という名字が生まれました。そのため、沖縄県を除いて全国に広く分布しており、とくに鹿児島県と栃木県に多くなっています。

歴史上一番有名な上野氏は三河国上野(現在の愛知県豊田市)をルーツとする清和源氏の上野氏で、足利将軍家の一族です。室町時代には幕府の奉公衆をつとめていました。

現在、「上野」の98%以上が「うえの」と読みます。

「うえの」に次いで多いのが「うわの」で、その比率は1.5%ほど。しかし、「上野」は数が多いため、1.5%といえどもそれなりの数になり、名字ランキングでも5,000位台に入るよくある名字の1つです(筆者は1万位以下を珍しい名字と考えています)。

とくに岩手県の三陸地方から青森県東部にかけて集中しており、青森県では「上野」の4割以上が「うわの」と読みます。

次いで関西を中心に「かみの」が多く、九州では「あがの」、三重県では「こうずけ」とも読みます。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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