名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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今井(いまい)
「今井」という名字はユニークな分布をしています。
愛媛県をスタートして、香川県・岡山県・兵庫県・京都府と続き、ここから東北の方向に向かって滋賀県・岐阜県・長野県を通り、さらに群馬県・新潟県・山形県に至る一本の道のように分布しています。
最も多いのは20位に入っている岐阜県で、とくに下呂市付近に集中しています。この他、新潟県で26位、群馬県で29位と上位に入っています。
「今井」の「今」は「新しい」という意味です。つまり、「今井」とは新しい「井」のことで、「新井」と同じ意味の名字です。
では「井」は何かというと、井戸に限らず、古い時代には水を汲む場所や用水路など、日常生活に必要な水を得る場所を広く指していました。生活していく上では水は必須ですから、集落には必ず「井」があり、そのうち新しくできた「井」が「今井」なのです。
歴史的には、木曽義仲の四天王の一人今井四郎兼平を祖とする一族が有名です。
兼平は、信濃国佐久郡今井(現在の長野県佐久市)に住んで今井を名乗ったもので、巴御前の兄としても知られ、近江で源 義仲とともに自害しました。その後一族の多くは各地に移ったと伝え、兼平の子孫と伝える今井家は各地にあります。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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