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秋の味覚の収穫から調理まで、家族みんなで体験。田舎暮らしならではのタサン志麻さん流の食育

2024.11.07

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〔連載〕タサン志麻の田舎暮らし・秋 静かな里山を舞台に始まった、タサン志麻さん一家5人の古民家暮らし。豊かな自然や、旬の食材をふんだんに使ったレシピとともに、志麻さんの視点でお届けします。

連載「タサン志麻の田舎暮らし」の記事一覧はこちらから>>

食欲の秋がやってきました

火の近くは思ったよりも熱いと知り、長い火ばさみを上手に使うしょうちゃん(左)としんちゃん(右)。

文・タサン志麻

田舎暮らしを始めた理由の一つに、子どもたちにお米や野菜が育つ様子を見せたいという思いがありました。春に種をまき、田植えを経て、秋には稲刈りも体験できました。これまでは「スーパーで買うもの」だったお米が、自分で育てるという経験のおかげで、より身近に、大切に感じるようになったと思います。


お米だけではありません。我が家の周りには食べ物がたくさんあります。例えば庭には栗や柿の木があり、食べごろになる前に猿やいのししに取られそうになると、大きな声で追い払うのも当たり前の光景となってきました。子どもたちにとっても、食べ物と生活との関わりが密接になってきているように思います。

子どもたち一人一人に焼きいもの味や食感の違い、またどれが好きなのかを聞く志麻さん。「教えるのではなく、自分で感じてほしいから」。

秋には近所の農家さんにさつまいもの収穫をさせてもらったり、栗や柿を採ったりして、秋の味覚を存分に楽しみました。さつまいもや栗などの甘みの強い食材は、甘さを生かしてそのままスイーツにしてもいいのですが、今回は数種のさつまいもを準備して庭で焼きいもを堪能し、さらにその焼きいもをシンプルなスイーツに仕立てました。また栗はスイーツのほか、ナッツとしての特性を生かしてスープやサラダ、魚料理、肉料理に使い、季節の味を楽しみました。

焼きいもは炭火をおこすところからです。子どもたちも「どうしたら甘く焼けるんだろう」「どのくらい焼けばいいのかな?」など興味津々。焼きたてを頰張るのも、焼いたおいもでスイーツを作るのも、家族で体験することで特別なできごとに。五感を使って収穫から焼きいもへ、またスイーツ作りまで行うと、不思議なことに、失敗したって甘さが足りなくたって「おいしい」と感じます。あらためてそれが家庭料理のいいところなんだと思うのです。

子どもたちを寝かせてから、夜な夜な栗の皮をむくロマンさん。猿に奪われても食べきれないほどの量に、「しばらく見たくないよー」と苦笑い。

家族のために、“失敗なく、よりおいしくきれいに、レパートリーをたくさん” を心がけるのもいいのですが、どうしたら家族が食を楽しみ、料理に興味を持てるのかと考えることも家族が喜ぶひとつの糸口になるのではないでしょうか。我が家でもこの自然豊かな土地でどのように暮らすかによって、得られるものがたくさんあると思います。まずはロマンが耕すことから始めた畑で子どもたちとたくさんの野菜を育て、旬の野菜を味わいながら食と向き合っていきたいと思います。

タサン志麻(タサン・しま)
料理人と家政婦の経験で培った、技やセンスが光るレシピが大好評。2023年、古民家を購入して夫のロマンさんとリノベーションに奮闘中。3人の子どもの母。

(次回に続く。この連載の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年11月号

家庭画報 2024年11月号

撮影/本誌・大見謝星斗 構成・文/井伊左千穂

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