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変わった読み方の名字「日下」。『古事記』の時代から不思議と思われていた!

2024.11.29

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

日下(くさか)

「日下」という名字があります。愛知県などでは「ひのした」とも読みますが、多くは「くさか」と読みます。漢字と読みがあまり対応していない難読にもかかわらず、正しく読める人が多いと思います。

「日下」は古くからあります。
そのルーツは現在の大阪府東大阪市日下町あたりで、かつては「草香」と書くこともありました。もっと古い時代では「孔舎衙」とも書きます。

当時はこのあたりまで大阪湾の入江で、生駒山西麓に「くさか」という坂があったようです。『日本書紀』には、神武天皇が東征した際、日(太陽=東の方角)に向かって征するのは天道に逆らうとして、この地で兵を還し南方に迂回したとされています。


このことに因んで古くから「日下」と書いて「くさか」と読むと言われていますが、本当のところははっきりしません。

面白いのは『古事記』ですでに「なぜか日下と書いて、くさかと読む」と書かれており、この時代にはすでに不思議な読み方として認識されていたようです。

古代豪族には日下部(くさかべ)氏がおり、名字の「日下」はこれを短縮したものが多いのではないかと思います。

現在は瀬戸内海沿岸と東北の太平洋岸に多く、とくに宮城県白石市や柴田郡大河原町に集中しています。

森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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