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地球の鼓動を感じる島根・隠岐の宿「Entô(エントウ)」で、ユネスコ世界ジオパークを体験

2024.10.01

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〔特集〕最高の宿、感動のホテル 世界からも高評価を受けている、日本の宿とホテル。そこには、日本が誇る“おもてなし”の文化が息づいています。自然の中のリトリート、五感を刺激するアートなホテルや心と体を癒やすウェルネスのホテル、土地の恵みをいただく美食の宿など、家庭画報が取材し厳選した宿とホテルを、最新情報とともにご紹介します。前回の記事はこちら>>

・特集「最高の宿、感動のホテル」の記事一覧はこちらから>>

Entô(エントウ)── 島根・隠岐
乗り継いで隠岐ユネスコ世界ジオパークへ地球の鼓動を感じる宿

東京を出発して約6時間 ──。かつてない長い移動時間を経て、まだ見ぬ地への期待感が最高潮に達したそのとき、フェリーの甲板からようやく隠岐・海士(あま)町の「Entô」が見えてきます。


2021年に、宿泊機能とジオパークの拠点機能のどちらも備えた国内初の“ジオ・ホテル”としてオープンして以来、海路でしかアクセスできない、まさしく“遠島(えんとう)”から、新しい旅の形を提案してきました。

本土から海士町まではフェリーで約3時間、高速船で約1~2時間。

本土から海士町まではフェリーで約3時間、高速船で約1~2時間。

本館「Entô BASE」のエントランス。ここから隠岐の冒険が始まる。

本館「Entô BASE」のエントランス。ここから隠岐の冒険が始まる。

「ここに泊まることではなく、あくまでも拠点として外へ出かけていくことを旅の目的にしてほしいです」とスタッフの佐藤奈菜さん。毎日開催されているジオパーク解説員によるミニツアー「Entô Walk」や展示室を通じて、ホテルの中でもジオパークについての予習・復習ができるようになっています。

約1億5000万年前の恐竜やアンモナイトの化石が展示されている「ジオ ラウンジ」。宿泊客以外も、展示室「ジオルーム“ディスカバー”」と併せて無料で利用可能。

約1億5000万年前の恐竜やアンモナイトの化石が展示されている「ジオ ラウンジ」。宿泊客以外も、展示室「ジオルーム“ディスカバー”」と併せて無料で利用可能。

別館の「NEST SU(ネスト スイート)」。左手にはテラスデッキも。

別館の「NEST SU(ネスト スイート)」。左手にはテラスデッキも。

全2棟のうち、おすすめは新築の別館です。各客室に大きな開口部が海に向かって設けられ、海と空、島影が織り成す絶景が、目の前まで迫るように広がります。大自然を前に、ありのままの自分を見つめ直す、静穏なひとときを過ごすことができます。

食事は本館のダイニングで楽しめる。ディナー「自然コース -jinen-」のメインは“幻の黒毛和牛”ともいわれる隠岐牛。島内で放牧されストレスなく育った牛の肉は、赤身と脂身のバランスが絶妙

食事は本館のダイニングで楽しめる。ディナー「自然コース -jinen-」のメインは“幻の黒毛和牛”ともいわれる隠岐牛。島内で放牧されストレスなく育った牛の肉は、赤身と脂身のバランスが絶妙

朝食「海士町の箱膳朝食」。地元の海と山の食材を堪能できる。

朝食「海士町の箱膳朝食」。地元の海と山の食材を堪能できる。

Entô
住所:島根県隠岐郡海士町福井1375-1
TEL:08514(2)1000
料金:別館「Entô Annex NEST」は1室2名利用で1泊1名1万6300円~ ご紹介した「NEST SU」は同12万2100円~(ともにサービス料込み) 夕食「自然コース -jinen-」1万1000円 朝食「海士町の箱膳朝食」2200円
全36室(本館含む)
IN15時/OUT11時(本館は10時)

むき出しの地球に出合う

ジオパークとは、地質学的に重要な場所と景観を保全し、それらを活用した教育と持続可能な開発を行う地域一帯のこと。隠岐は、数億年前の大地の成り立ち、独自の生態系、後鳥羽上皇などの配流の地でもあり、古くから人の往来が盛んだったことで築かれた独特の伝統文化など、さまざまな分野の希少性が評価され、2013年にユネスコ世界ジオパークに認定されました。

ジオパークを案内してくれた隠岐しぜんむらの福田貴之さんは、「『Entô』がある中ノ島と、西ノ島、知夫里(ちぶり)島の島前(どうぜん)は、約600万~280万年前の火山活動によって誕生しました。

穏やかな内海と、偏西風の影響が強い荒波の外海に囲まれ、自然が生み出した雄大な景観が点在しています。各島へは内航船で15~20分ほど。短い旅でも生涯忘れない、いくつもの絶景に出合えるはずです」と、その魅力を語ります。

赤壁(せきへき)
写真は「赤壁」。知夫里島の「赤壁」は、約600万年前の火山の噴火の痕跡そのもの。1935年には国の天然記念物に指定されている。中央の縦に伸びる白っぽい層は、火道といわれるマグマの通り道の跡で、赤い色は溶岩の鉄分が空気に触れて酸化した部分。崖縁から、火山の断面を間近に見ることができる。遊覧船で海上から見ることも。

●島根県隠岐郡知夫村
来居港から車で約20分

通天橋(つうてんきょう)
西ノ島の国賀海岸の中心にある、隠岐を代表する景勝地の一つ。波の浸食によって洞窟の周辺部分がだんだんと崩れ落ち、開口部分のみがアーチ状に残った奇岩。地層の横縞もはっきりと見ることができる。ほかにもかつて陸地とつながっていたことを物語る奇岩が周囲にあり、総称して「天上界」と呼ばれている。

●島根県隠岐郡西ノ島町浦郷
別府港から車で約25分

焼火神社(たくひじんじゃ)
焼火山の中腹にある神社。岩屋の中にある1732年改築の社殿は、隠岐最古の木造建築。古くから海上守護神として信仰を集め、航海の安全を守る灯台としての役割も果たしていた。

●島根県隠岐郡西ノ島町美田波止
別府港から車で約20分

明屋海岸(あきやかいがん)
約280万年前、島前最後の噴火でできた海岸。島の女神がここで出産をしたという伝説が残っている。波の浸食で空洞になった「ハート岩」もあり、縁結びスポットとしても知られている。

●島根県隠岐郡海士町豊田
菱浦港から車で約20分

摩天崖(まてんがい)
「通天橋」から遊歩道でつながる標高257㍍の断崖絶壁。波の浸食によって形成されたダイナミックな地形が一望できる。牛や馬の放牧地帯でもあり、のどかな景色が楽しめる。

●島根県隠岐郡西ノ島町浦郷
別府港から車で約25分

(次回へ続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

※本特集内に記載している料金は原則として1室2名利用時の、1泊朝食付き、または2食付き1名の最低料金です。時期や部屋により宿泊料金は変わります。別途サービス料、入湯税、宿泊税などがかかる場合があります。INはチェックイン時間、OUTはチェックアウト時間を表しています。時期により料理内容が変更になる場合があります。

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年10月号

家庭画報 2024年10月号

撮影/本誌・坂本正行

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