2023年10月、日本の玄関口である羽田の地に「藤田医科大学東京 先端医療研究センター」がオープンしました。この母体となるのは愛知県豊明市にある藤田学園です。医学部、医療科学部、保健衛生学部、そして複数の医療機関を有し、1964年の創設以来、「独創一理」の精神のもと、新時代を切り拓く医療人の育成に取り組んできました。
「研究力と教育力の評価に比重を置いた『THE世界大学ランキング』に連続ランクインし、海外からの評価も高まっています」と星長清隆理事長は話します。 藤田学園でも「THEアジア大学サミット」 のホストを務めるなど、アジアの有力大学との連携を積極的に進めており、今年から 香港科技大学とのスタートアップを支援する共同プロジェクトを始めています。
海外の有力大学が藤田学園に注目する最大の理由は、大学(研究)と病院(臨床)が一体となり、最先端の研究から次世代医療を創出し提供する高度医療体制が構築・実行されているからです。なかでも6200例以上の実績を誇る手術支援ロボットの治療開発では世界をリードする存在です。藤田医科大学病院には特性が異なる4種類の手術支援ロボット6台が配置され、これらを駆使してがんなどの手術が行われています。
さらに未来を先取りし、ロボットを用いた遠隔手術の実用化にも果敢に挑んでいます。「23年4月には東京・愛知間で、同年10月には愛知・シンガポール間で、国産初となる手術支援ロボットhinotori(ヒノトリ)を用いた遠隔手術の実証実験に成功。この技術を発展・確立させることで、アジアの医療格差の解消にも貢献し、より多くの人の命を助けられるようになるでしょう」と星長理事長は意気込みます。
研究と臨床が一体となった次世代医療の創出を加速させるうえで重要な拠点となるのが「藤田医科大学東京 先端医療研究センター」です。同センターは羽田イノベーションシティ ZONE Aの地下1階から4階 までの5フロアを占め、再生医療、がんゲノム医療、高度生殖医療などの分野で先端医療の開発・普及に取り組んでいます。
「国内企業との産学連携による共同研究講座を併設していることが特筆すべき点の一つです。国際空港に隣接する地の利を生かし、日本製医療機器のショールーム的存在として日本の医療産業に貢献したいと考えています」と星長理事長は説明します。
また、医療を通して社会に貢献することをビジョンとミッションに掲げる藤田学園は、一般の人々に同センターが創出した次世代医療をいち早く届けるため「羽田クリニック」を併設しています。このクリニックでは先端医療による治療を実施するほか、最新の検査機器を用いた精密健診・検診、高齢になってもいきいきと暮らせるよう「活動長寿」の実現に向けた先端リハビリの提供や臨床栄養学に基づいたライフスタイルの提案も行っています。
「健康は何ものにも代えがたい財産です。最新の医療技術を活用すれば、見つかりにくい病気を超早期で発見し、QOLを損なうことなく短期間で治せる時代になっていることを、ぜひ知ってください」と星長理事長。次ページから羽田クリニックで提供する次世代医療について詳しくご紹介します。
「世界に誇る先端医療を羽田の地で、ぜひ体感を」
学校法人 藤田学園 理事長
星長清隆先生
撮影/本誌・西山 航 取材・文/渡辺千鶴