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京料理の若主人と海外の気鋭シェフが切磋琢磨する「日本料理フェローシップ」開催

2024.05.22

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〔特集〕「京都」美味案内(1)京料理、世界に羽ばたく 日本食文化の継承と発展、世界に向けた発信のため活動する「日本料理アカデミー」。2024年2月、海外の若手シェフを日本に招聘、日本の食文化を体感してもらうとともに次代を担う京都の料亭の若主人と交流する「日本料理フェローシップ」を開催しました。そこで得たものをもとに料亭の若主人が表現した4皿の“新・日本料理”です。前回の記事はこちら>>

・特集「京料理、世界に羽ばたく」の記事一覧はこちらから>>

日本料理は世界に誇る文化になった
「菊乃井」3代目主人 日本料理アカデミー名誉理事長 村田吉弘

一番だしの味見をする村田吉弘さん。斬新な料理で知られるが「なんか簡単に思いつくように見せてるだけ。今でも四六時中、料理のことを考えてます」。

一番だしの味見をする村田吉弘さん。斬新な料理で知られるが「なんか簡単に思いつくように見せてるだけ。今でも四六時中、料理のことを考えてます」。

2013年12月に「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されて、10年がたちました。南北に長く、四季と多様な食文化を持つ日本で育まれた、自然を尊ぶ考え方が評価されてのものです。


多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重、健康的な食生活を支える栄養バランス、自然の美しさや季節の移ろいの表現、正月などの年中行事との密接なかかわり、という4つの点が評価されてのものです。

例えば、「菊乃井本店」の懐石料理のコースに使われている食材は、約100種類にも及び、全部を食べても1000キロカロリーほど。フランス料理のコースは通常2500キロカロリー以上ありますから、西洋料理に比べて極めて低い。また、さまざまな食材を使うことで栄養バランスがとれ、一つの食材を食べすぎることもないので、環境への負荷も少ないのです。

世界的に、人にも地球にも、健康でサステナブルな料理が注目を集める中、日本料理は世界に誇るべき食文化ということができるでしょう。

料理は「本物の美」と日本の美意識を伝える総合文化

また、和食が世界的に評価された理由の一つは、茶室に表現されるような、現実の世界と一線を引いた、小宇宙とでもいうべき世界観です。

店の調度品には、本物の芸術品や伝統的な工芸品を使います。西洋の絵画などを飾るときも、日本の美意識で表現しています。それぞれのしつらいには、主人からのメッセージが込められている。ですから、それを本当に楽しむためには、食べる側にも文化への理解や教養が必要だといえるでしょう。

日本の美意識とは、簡単にいうと「余白の美」。有名な千利休の朝顔の話がよい例です。利休の庭に、朝顔が一面に咲き誇っているという話を聞きつけた秀吉が、その庭を訪れると告げると、利休は床に見事な朝顔を一輪だけ入れ、ほかはすべて摘み取ってしまった。その一輪から一面の朝顔を想像できるのが、文化だということを伝えたかったのです。

相手に想像の余地を与える、それが「余白の美」であり、狭い茶室に身を置きながらも、空想の世界という無限の広がりを持つ、茶の湯の精神性でもあります。作る側も、食べる側も、節度と品位を持って食事をする。そんな奥ゆかしさが日本料理、和食の真髄といえるでしょう。

「伝統」の実体は、「革新」の連続

伝統というのは革新の連続で、それを経てなお残り続けてきたもの。日本から世界へ、世界から日本へ、多くの人が旅するようになり、世界に日本料理を発信し、世界とつながっていかなくてはならないと考えるようになりました。

そこで、2004年に「日本料理アカデミー」を立ち上げ、2005年から「日本料理フェローシップ」と名づけた活動を始めました。毎年、海外から未来を担うと目される、優秀なシェフや料理人を招聘し、日本料理アカデミーのメンバーの案内で、京都で日本料理店での研修や、ゆば作りなど、日本の食文化を体験してもらうものです。

ちなみに、初期の頃に訪れたメンバーの中には、今やミシュラン3つ星やランキングで世界一になるなど、世界的なシェフとなった、「ノーマ」のレネ・レゼピ氏や「ミラズール」のマウロ・コラグレコ氏もいます。彼らを含めた、多くの元研修生たちが、和食の無形文化遺産登録の後押しをしてくれたと聞いています、ありがたいことです。

2010年にひとまず目的を達成したと考え、一旦中止しましたが、海外シェフたちからの熱望を受けて、2024年2月、久しぶりに再開しました。

2024年は、最終日に日本料理アカデミーの若主人たちとペアを組んで、京都の訪問からインスピレーションを得た料理を作ってもらいました。ゆばを重ねてタコスの皮にするなど、発想がとてもユニークで面白かった。

今の若主人たちは、英語も話せて、彼らと直接コミュニケーションをとっています。世界とつながり、今の時代に合う料理を生み出すという「革新」。こうした取り組みを通じて、日本料理の伝統を未来につないでいきたいですね。(談)


ダヴィデ・ガラヴァグリア(タイ「コート・バイ・マウロ・コラグレコ」)×小西雄大(萬亀楼)

「酒粕の波」。廃棄されることもあるという酒粕を活用。あさりだしで粕汁をイメージしたソースに、醬油で香ばしく焼いたあわびを添えた。

サンチアゴ・ラストラ(イギリス「コル」)×中村元紀(一子相伝なかむら) 

「YUBA TACO」。引き上げゆばを重ねてタコスの皮にするという斬新なアプローチ。具材にはまぐろの中とろのコンフィ、大根を使った。

ディラン・ワトソン=ブラウン(ドイツ「エルンスト」)×村田知晴(菊乃井本店)

「鰆の燻製醬油漬け藁焼き 京野菜巻き」。燻製醬油に漬けたさわらを藁焼きにし、かつらむきにした聖護院かぶと金時にんじんで巻き上げた。

アレクサンドル・クイヨン(フランス「ラ・マリーン」)×栗栖熊一(たん熊北店)

撮影/Katsuo Takashima

撮影/Katsuo Takashima

「真鯛のグリル―京都の風景に想いを馳せて―」。焼いた真鯛に、はちみつとマスタードのソース、蒸したなすとせん切りの大根を添えた。

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年06月号

家庭画報 2024年06月号

撮影/本誌・坂本正行 取材・文/仲山今日子 協力/京都府

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