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死んだらどうなる? 死は次の世界への出発点【対談前編】工藤美代子さん(作家)× 鶴田光敏さん(医師)

2024.05.07

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〔特集〕心安らかに、精一杯生きるために知りたい 死んだらどうなる? 誰にとっても限りある命。人は死んだらどうなるのか? 古今東西、永遠のテーマをノンフィクション作家・工藤美代子さんが聞き手となり、日本心霊科学協会理事の小児科医・鶴田光敏さんに率直に尋ねる対談は必読。また、研究や体験を通じて死後の世界観を確立されている方々にもお話を聞き、多面的に掘り下げました。死後の世界に思いを馳せることで、“よりよい死を迎えるために、よりよく生きる”一助になりますように──。

特集「死んだらどうなる?」の記事一覧はこちら>>>

誰もが知りたい、死後の世界[前編]
【対談】工藤美代子さん(作家)× 鶴田光敏さん(医師)

工藤美代子(くどう みよこ)
1950年東京都生まれ。ノンフィクション作家。1991年『工藤写真館の昭和』で講談社ノンフィクション賞を受賞。『怖い顔の話』ほか、日常的にお化けに出会う体験をもとに見えない世界を描いた作品も多い。


鶴田光敏(つるた みつとし)
1954年愛知県生まれ。小児科・アレルギー科専門医。つるた医院院長。漢方薬にも造詣が深く東西両医学で診療を行う。もう一つの使命は魂の師・中川昌蔵さんの教えを広め、残すこと。著書に『幸福への波動』など。

幼い頃から身近に感じていた霊魂の存在と死後の世界

工藤さん(以下K) お久しぶりです。鶴田先生とは作家の佐藤愛子先生を介して面識ができ、不思議現象についてお話ししてきましたが、まさか『家庭画報』で死後の世界をテーマにご対談する機会が来るとは……(笑)。生涯の思い出になります。実際のところ、最近講演会で死後の世界について聞かれることが多いんです。皆さん、興味がおありなんですね。改めて、鶴田先生とお話ししてみたいと思っていたところでした。

鶴田さん(以下T) 今日はよろしくお願いします。佐藤愛子先生宅で30年も続いた不思議現象(※1)を、古神道家・相曾誠治(※2)先生のお力を借りて鎮める過程で多くの方々とご縁ができたのですが、工藤さんとも知己になれて光栄です。

 先生は名古屋の開業医であり、日本心霊科学協会(※3)の常務理事でもいらっしゃいますね。

 はい、生まれ育った名古屋で小児科医、アレルギー医として日々治療に当たっています。数年前からは魂の師のお一人、中川昌蔵(※4)先生の教えやお言葉を世に残すことにも、使命として取り組み始めました。

「死んだらどこに行くのか、不安な方も多いですよね」── 工藤さん

 鶴田先生が目に見えない世界にかかわられるようになった背景を、改めてお聞かせいただけますか。

 私は教員の両親のもとに生まれたのですが、少し変わった家庭環境だったんです。曽祖父が御嶽教という神仏混合の極めて土俗的な信仰の修行に取り組んでいまして。病気治しのお加持(かじ)という心霊治療の一種を得意としていたそうで、私が医者になったあと、「ひいおじい様に病気をよくしてもらいました」と感謝される方に出会うこともありました。父も修行に熱心で、我が家では毎月、霊媒と審神者(さにわ)(※5)を立てた降霊会が行われていたんですね。子どもの頃から私も会に参加し、数々の不思議なできごとを目の当たりにしてきたので、霊魂、そして死後の世界は存在する前提で生きてきたわけです。

 私も自著何冊か(『もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら』、『怖い顔の話』〈2点とも角川文庫〉ほか)に書きましたが、幼い頃からなぜか亡くなった方が見えてしまうので、死後の世界がないという発想はありませんでした。霊感は強くないと自分では思っているのですが、幽霊に生き霊、憑き物の類まで次々話のネタが寄ってくるんです(苦笑)。ところで鶴田先生はなぜ小児科医になられたのですか?

 それはやはり、人々を少しでも楽にしたいと修行に取り組んでいた曽祖父と父の影響があるのでしょうね。父はある日突然、就寝中に亡くなったんです。まだ43歳、私は高校2年生でした。それから約半年後、私が父の供養に祈っていると、合わせた両手から光が放射され、さらに人の周囲にオーラが視えるようになったのです。私の不思議な力は半年で消えてしまったのですが、そんな時に出会った一篇の詩が宮沢賢治の「十月廿日(この夜半おどろきさめ)」。何の落ち度もないのに病に苦しむ、幼き子どもの背負った辛苦を自分にうつしてほしい。この詩を読んだときの電気が走ったような衝撃は今も忘れません。それから一念発起して勉強し一浪の末、藤田医科大学に入学。小児科医になったのです。

「死は次の世界への出発点。まったく怖くありませんよ」── 鶴田さん


人々を幸福にし、魂の向上に導く、中川昌蔵氏の教え

 宮沢賢治のその詩に共感され、使命感を抱かれたんですね。

 はい、暗記するほど魂を揺さぶられました。医師という使命に向き合いながら心霊の勉強も続けていたところ、中川昌蔵先生と知り合うご縁に恵まれたのです。先生は、初対面の私に「あなたは何となく憑依がわかるでしょう? もしお知り合いや患者さんで怪しいと思う人がいたら、その方の名前と生年月日だけ私に知らせてください。本当に憑依されていたら、外して霊界へ送りますから」とおっしゃったんですよ。

 なんて不思議な。どのようにして憑依を外されるのですか?

 中川先生の除霊、浄化方法は憑依霊を呼び出して「あなたはもう霊界に行きなさい」と死の自覚をうながし、懇々と説得されるんです。頑固な霊には、親や愛情をかけて接してくれた人の話をして、感謝と反省の念を取り戻させてから霊界へ送るのだとおっしゃっていましたね。憑依された人との直接の面接や交渉はいっさい不要。霊魂が相手だからとお礼の金銭授受もなく、最後まで無償で取り組まれていました。

 本当に奇特な方ですね。

 私には中川先生ほどの霊力はないのですが、教えに倣って、死の自覚なく彷徨(さまよ)い波動が同じ人間に憑依してしまう憑依霊に悩む人々を、一人でも多く救えたらと思っています。また、「霊感も一つの体質。ない人がそれを求めるのは間違っている。もしその力を持っていたら、人々の魂を向上させる使命として神様から授けられたものなので、決して驕らず、謙虚でなければならない」という言葉も胸に刻んでいます。

 ご存命のうちにお会いしたかったです。確か、中川先生は臨死体験をご経験されているんでしたね。

 そうなんです。大阪にある家電販売会社の創業者として経済的には成功を収めていたのですが、60歳のとき、原因不明の大病を患って臨終を迎えられたんですね。中川先生のお話では、『ご臨終です』という医師の声や葬儀の相談をする家族の声に続き、『この者の命は終わった』、『この者にはまだ使命が残っている。今、死なすわけにはいかない』など、複数で意見を言い合っている声が聞こえてきたのだそうです。それはまぎれもなく、異なる時空の声だったと。そして使命という言葉が耳に入り、『人々に大自然の法則を教え、各自の魂の向上をはかることを教える使命と目的を持って地上に輪廻転生してきたのに、仕事に没頭して本来の目的を忘れていた! このまま生命を失い、何の使命も果たさず霊界に帰るのか』と思ったとき、体が震えて目が覚めたと話してくださいました。

 ご病気も治られたんですね?

 目覚めたら奇跡的に症状が回復しており、原因不明のまま3か月後に退院されたそうです。地上に戻るに当たり、神々から「組織を作らない」、「この役目で金銭を得ない」という2つの約束を求められたとのことで、真摯に使命に向き合われていました。それを踏まえて「霊能を商売にしている新興宗教に深入りしてはいけない」と強く語られていたお言葉も皆さんにお伝えしたいです。

熱田神宮の御神木、大楠。樹齢1000年以上といわれる楠で、弘法大師お手植えと伝わる。鶴田さんが熱田神宮を参拝した折、この楠に2メートルほどの白蛇が現れたことがあるという。

「死んだらどうなる?」関連用語解説

(1)不思議現象 作家・佐藤愛子さんが北海道浦河に山荘を建てたときから始まったラップ音や勝手に家具が動くなどの現象を解消すべく、鶴田さんが佐藤さんに霊能者を多数紹介。古神道家・相曾誠治さんにより、30年越しの現象を鎮めることに成功。

(2)相曾誠治 1910年静岡県生まれ、1999年逝去。静岡県篠原村(合併前)の村長経験もあり、優れた霊能を持つ古神道家でもあった。

(3)日本心霊科学協会 1923年、日本の心霊主義運動の父・浅野和三郎設立の“心霊科学研究会”が前身。1946年、「心霊現象の科学的研究を行い、その成果を人類の福祉に貢献すること」を目的に創立。宗教団体ではなく、スピリチュアリズムの思想哲学や心霊現象・超常現象を科学的に研究する。2012年公益財団法人に。現理事長は医療技術者・工学者の瀬尾育弐(やすつぐ)・駒澤大学名誉教授。鶴田さんは常務理事を務める。

(4)中川昌蔵 1914年大阪市生まれ、2002年逝去。1946年家電量販店を設立。臨死体験後は霊性世界の活動に従事。著書に『大自然の法則と経営理念』など。

(5)審神者(さにわ) 降霊会などの儀式で降りてきた霊の性質を見極め、祓う役割を持つ。日本心霊科学協会で行われている精神統一研修会では、進行の中で会場の雰囲気の浄化をはかり、未熟な霊の憑依ないし介入を排除。参加者へ精神統一の意義と目的の説明、精神統一座法の指導、心霊知識の解説などの役割を担うとされる。

(次回へ続く。この特集の一覧>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年05月号

家庭画報 2024年05月号

撮影/猪俣晃一朗 ヘアメイク/YOSUKE NAKAJIMA〈Perle〉(工藤さん) 構成、取材・文/小松庸子

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