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ヴァンスのロザリオ礼拝堂を再現!「マティス 自由なフォルム」展を締めくくる最終展示室へ(連載第15回)

2024.03.29

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「マティス 自由なフォルム」展がもっと楽しくなる短期集中連載。

5月27日まで国立新美術館で開催されている「マティス 自由なフォルム」展。“色彩の魔術師”と形容されるアンリ・マティス(1869〜1954)が後半生に取り組んだ「切り紙絵」の作品を中心に、これまでとは異なる視点で紹介される、とてもユニークで貴重な展覧会です。大きなサイズの作品や大掛かりな展示も圧巻。作品の見どころを、美術展プロデューサーの今津京子さんが解説します。連載一覧はこちら>>

第15回(最終回) ヴァンスのロザリオ礼拝堂「マティス 自由なフォルム」

文/今津京子(美術展プロデューサー)

私事で恐縮ですが、私は1983年に読売新聞社の文化事業部という部署に配属になり、西洋美術の展覧会担当になりました。その時に上司から言われたことが「マティスの展覧会は絶対に企画するな」でした。

当時はフランス美術といえばルノワールなど印象派の知名度と人気が高く、マティスを始めとする近代美術の画家たちの展覧会が興行的に芳しくなかったことからです。学生時代からマティスが好きだった若い私は納得が行かず、その思いが2004年に国立西洋美術館で開催された大規模な回顧展、そして今回の展覧会の企画につながっています。


ヴァンスのロザリオ礼拝堂(内観) ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez

展覧会の最後は、ヴァンスのロザリオ礼拝堂内部を実寸大で再現します。おそらく初めての試みでしょう。ステンドグラスを通して差し込む光で、その雰囲気を少しでもお伝えできればと検討を重ねました。

「マティス 自由なフォルム」国立新美術館 2024年 礼拝堂内部を再現した展示室風景

最後にマティス自身の言葉を記します。

「私は、私の礼拝堂に入る人たちが清められ、重荷から解放されることを望む」

マティス 自由なフォルム
国立新美術館 企画展示室 2E(東京都港区六本木7-22-2)
会期:2024年2月14日(水)~5月27日(月)
開館時間:10時~18時 ※毎週金・土曜日は20時まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週火曜日 ※4月30日は開館
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般2200円ほか
展覧会ホームページ:https://matisse2024.jp
 
今津京子/Kyoko Imazu
撮影/小野裕次

撮影/小野裕次

美術展プロデューサー。パリをベースに、今回の「マティス 自由なフォルム」、「ルーヴル美術館展 愛を描く」(2023年)、「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de Mode」(2022年)、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(2020年)など、40年にわたり数十を超える大型展覧会の企画に携わる。日仏英の3か国語を操り、美術、ファッションなどの分野でジャーナリストとしても活動。音楽、演劇、料理、アンティークなどアール・ド・ヴィーヴルをこよなく愛する。

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