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マティスがこだわった礼拝堂のステンドグラス。このモチーフに込められた意味とは?(連載第13回)

2024.03.27

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「マティス 自由なフォルム」展がもっと楽しくなる短期集中連載。

5月27日まで国立新美術館で開催されている「マティス 自由なフォルム」展。“色彩の魔術師”と形容されるアンリ・マティス(1869〜1954)が後半生に取り組んだ「切り紙絵」の作品を中心に、これまでとは異なる視点で紹介される、とてもユニークで貴重な展覧会です。大きなサイズの作品や大掛かりな展示も圧巻。作品の見どころを、美術展プロデューサーの今津京子さんが解説します。連載一覧はこちら>>

第13回 《ステンドグラス、「生命の木」のための習作》「マティス 自由なフォルム」

文/今津京子(美術展プロデューサー)

ヴァンスのロザリオ礼拝堂の中心をなすのは、光を取り込むステンドグラスです。黄、緑、青の3色で構成されていますが、最終的にこの図案が採用されるまでにさまざまな主題が考案されました。

ファサードのステンドグラス「生命の木」には花をつけたウチワサボテンが描かれていて、これは不毛な砂漠にあっても花を咲かせ実をつけることから、忍耐力と生きる意志のシンボルだそう。マティス本人が色調、そして使用するガラスの品質まで選びました。


アンリ・マティス《ステンドグラス、「生命の木」のための習作》1950年 ステンドグラス 62.3×91.5×2cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez

黄色は半透明、緑と青は透明で、ステンドグラスを通過した太陽の光は白い壁とタイルに反射して、特に黄昏時になると薄紫の神秘的な光が礼拝堂の中を包みこむように廻るのです。

なお、その前に図案の候補になった「蜜蜂」は、切り紙絵によるステンドグラスのマケットが展示されています。

アンリ・マティス《蜜蜂》1948年 グアッシュで彩色、裁断、貼り合わせた紙/厚紙に糊付け(カンヴァスで裏打ち) 101×240cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez

赤、黒が含まれていて、礼拝堂内で反射する光が強すぎると断念した案ですが、こちらはその後、マティスが生まれた町カトーカンブレジの幼稚園内で実現されました。

マティス 自由なフォルム
国立新美術館 企画展示室 2E(東京都港区六本木7-22-2)
会期:2024年2月14日(水)~5月27日(月)
開館時間:10時~18時 ※毎週金・土曜日は20時まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週火曜日 ※4月30日は開館
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般2200円ほか
展覧会ホームページ:https://matisse2024.jp
 
今津京子/Kyoko Imazu
撮影/小野裕次

撮影/小野裕次

美術展プロデューサー。パリをベースに、今回の「マティス 自由なフォルム」、「ルーヴル美術館展 愛を描く」(2023年)、「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de Mode」(2022年)、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(2020年)など、40年にわたり数十を超える大型展覧会の企画に携わる。日仏英の3か国語を操り、美術、ファッションなどの分野でジャーナリストとしても活動。音楽、演劇、料理、アンティークなどアール・ド・ヴィーヴルをこよなく愛する。

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応募締め切り:2024年4月7日(日)23:59まで

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