5月27日まで国立新美術館で開催されている「マティス 自由なフォルム」展。“色彩の魔術師”と形容されるアンリ・マティス(1869〜1954)が後半生に取り組んだ「切り紙絵」の作品を中心に、これまでとは異なる視点で紹介される、とてもユニークで貴重な展覧会です。大きなサイズの作品や大掛かりな展示も圧巻。作品の見どころを、美術展プロデューサーの今津京子さんが解説します。
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第11回 《ヴァンスのロザリオ礼拝堂外観のマケット》「マティス 自由なフォルム」
文/今津京子(美術展プロデューサー)
ロザリオ礼拝堂はニースの西約30kmのヴァンスの町にあります。マティスが病気の時に介護士そしてモデルを務め、その後ドミニコ会修道院に入信したジャック=マリー修道女が、1940年代の終わりに礼拝堂建設の助言をマティスに求めたのがきっかけでした。そして修道会の神父、建築家らと、礼拝堂の建築と室内装飾の計画に着手します。
ヴァンスのロザリオ礼拝堂 ©Succession H. Matisse
《ヴァンスのロザリオ礼拝堂外観のマケット(1/20)》1948年11月 アンリ・マティスのデッサン 制作:Les Maquettes EPI 硬質繊維板、グアッシュで彩色し裁断したカンソン社製の紙を貼り合わせた厚紙 107×112×94.5cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez
「私が模索をしながら歩み続ける道程の終着点において、運命の方から私を選んでくれた仕事であり、この礼拝堂が私の模索を一箇所にまとめて留める機会を私に与えてくれた」と残しています。晩年はその完成に向けてすべての力を注ぎました。礼拝堂の落成は1951年6月。そしてその3年後にマティスは逝去します。
マティス 自由なフォルム国立新美術館 企画展示室 2E(東京都港区六本木7-22-2)
会期:2024年2月14日(水)~5月27日(月)
開館時間:10時~18時 ※毎週金・土曜日は20時まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週火曜日 ※4月30日は開館
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般2200円ほか
展覧会ホームページ:
https://matisse2024.jp 今津京子/Kyoko Imazu 撮影/小野裕次
美術展プロデューサー。パリをベースに、今回の「マティス 自由なフォルム」、「ルーヴル美術館展 愛を描く」(2023年)、「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de Mode」(2022年)、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(2020年)など、40年にわたり数十を超える大型展覧会の企画に携わる。日仏英の3か国語を操り、美術、ファッションなどの分野でジャーナリストとしても活動。音楽、演劇、料理、アンティークなどアール・ド・ヴィーヴルをこよなく愛する。
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