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切り紙絵へと繋がるマティスの色彩の探求。大胆な色づかいが生み出す効果とは?(連載第8回)

2024.03.20

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「マティス 自由なフォルム」展がもっと楽しくなる短期集中連載。

5月27日まで国立新美術館で開催されている「マティス 自由なフォルム」展。マティスが後半生に取り組んだ「切り紙絵」の作品を中心に、これまでとは異なる視点で紹介される、とてもユニークで貴重な展覧会です。大きなサイズの作品や大掛かりな展示も圧巻。作品の見どころを、美術展プロデューサーの今津京子さんが解説します。連載一覧はこちら>>

第8回 《マティス夫人の肖像》「マティス 自由なフォルム」

文/今津京子(美術展プロデューサー)

20世紀の初め、マティスは大胆な色彩を特徴とする作品を次々と発表します。新印象主義と呼ばれる筆触分割の技法に取り組み、やがて色の補色関係による対比の効果を明示し、フォーヴィスム(野獣派)を代表する画家となります。

新印象主義が提唱する筆触分割の技法を用いて制作した作品。展覧会の前半では、マティスの油彩表現の変遷を辿っています。アンリ・マティス《日傘を持つ婦人》1905年 油彩/カンヴァス 46×37.5cm ニース市マティス美術館蔵 © Succession H. Matisse Photo: François Fernandez

《マティス夫人の肖像》を見てみましょう。左目を暖色のピンクで囲み、その横に寒色の緑。顔の右側はオレンジのような茶色と黄緑、そして背景はトルコブルー。この作品は未完成でしょうが、対比するように色を置いていることがよくわかります。かつて美術史の授業で「暖色は手前にあるように見える、寒色は引いて見える」と習ったのを思い出しました。


アンリ・マティス《マティス夫人の肖像》1905年 油彩/カンヴァス 46×38cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez

フォーヴィスムとは、色彩は画家の主観的な感覚を表現するための道具として使われるべきという考えでした。若い頃からのマティスの色への関心、探究心が、切り紙絵に繋がっていくのです。

マティス 自由なフォルム
国立新美術館 企画展示室 2E(東京都港区六本木7-22-2)
会期:2024年2月14日(水)~5月27日(月)
開館時間:10時~18時 ※毎週金・土曜日は20時まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週火曜日 ※4月30日は開館
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般2200円ほか
展覧会ホームページ:https://matisse2024.jp
 
今津京子/Kyoko Imazu
撮影/小野裕次

撮影/小野裕次

美術展プロデューサー。パリをベースに、今回の「マティス 自由なフォルム」、「ルーヴル美術館展 愛を描く」(2023年)、「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de Mode」(2022年)、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(2020年)など、40年にわたり数十を超える大型展覧会の企画に携わる。日仏英の3か国語を操り、美術、ファッションなどの分野でジャーナリストとしても活動。音楽、演劇、料理、アンティークなどアール・ド・ヴィーヴルをこよなく愛する。

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抽選で5組10名様に本展の鑑賞券をプレゼントします
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応募締め切り:2024年4月7日(日)23:59まで

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