

二人はNPO法人「更年期と加齢のヘルスケア」が認定する「メノポーズカウンセラー」の資格を取得し、総合的な観点から更年期の治療に取り組んでいます。例えば、更年期世代に起こってくる手足のこわばりや膝の痛みはエストロゲン不足によることが多いですが、その原因に気づかずに鍼灸を利用する人は少なくありません。
つまり、更年期の諸症状の緩和において現代医学(ホルモン補充療法など)と鍼灸医学がそれぞれ得意とする症状に応じて両者を使い分けながら併用していくことを狙っているのです。
ハプラス鍼灸院では、医科との連携を推進するために定期的に勉強会を開催し、婦人科、乳腺外科、内科、整形外科などとのネットワークを築いてきました。また、学術活動にも熱心に取り組んでいます。東京有明医療大学の研究生でもある広田先生の研究テーマは「更年期における鍼灸の有効性」です。その研究論文は海外ジャーナル(IJCAM)にも掲載されました。
「家事に仕事に子育てに全力投球する真面目な女性ほど更年期症状を訴える傾向が強いです。頑張りすぎて交感神経が優位になっており、全身ががちがちに緊張しています。“緊張をゆるめる”ことが更年期治療のポイントです」(野溝先生)。そのため、診断法や施術法など鍼灸アプローチは異なるものの、二人ともリラックスできる気持ちのよい鍼や灸を重視しています。また、その人の症状や体調だけでなく、“鍼は苦手”といった個々のニーズに合わせて臨機応変に施術法を替えています。
「心の健康をサポートする面からも美容鍼には注力しています。きれいになることで自信を取り戻し、元気になってほしいのです」(野溝先生)。

野溝先生と広田先生が更年期の鍼灸治療を通して目指しているのは“水先案内人”の役割です。「更年期のゆらぎにのまれ、解決への道筋を見失っている女性たちに現在地を知らせ、どこに向かってどのように進んでいけばよいのかアドバイスをしながら、最終的に自分自身でハンドリングができるよう支えていきたいと考えています。人生100年時代といわれる今だからこそ、更年期以降の10年後、20年後の人生を見据えた健康サポートが必要です」(広田先生)。
神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町1-2-4神谷ビル302号
TEL:045(534)8219
完全予約制
診療時間/火曜~金曜8時30分~18時30分、土曜・日曜10時~16時
※臨時休診あり
休診日/月曜
診療費/初診料3000円(税込み)
鍼灸治療1万円(税込み)
神奈川県藤沢市に分院(ハプラス湘南鍼灸Room)あり
https://haplus89.com/
※次回へ続く。
・連載「新世代の鍼灸師に訊く」の記事一覧はこちら>>>
撮影/本誌・大見謝星斗 取材・文/渡辺千鶴