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日本で見られる最後の機会か。マティスの探求の到達点、「切り紙絵」最大の作品(連載第5回)

2024.03.15

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「マティス 自由なフォルム」展がもっと楽しくなる短期集中連載。

5月27日まで国立新美術館で開催されている「マティス 自由なフォルム」展。マティスが後半生に取り組んだ「切り紙絵」の作品を中心に、これまでとは異なる視点で紹介される、とてもユニークで貴重な展覧会です。大きなサイズの作品や大掛かりな展示も圧巻。作品の見どころを、美術展プロデューサーの今津京子さんが解説します。連載一覧はこちら>>

第5回 《花と果実》(2)「マティス 自由なフォルム」

文/今津京子(美術展プロデューサー)

切り紙絵が創り出された当時、欧米の批評は「装飾的」「子供の遊び」だとして、決して好意的ではなかったそう。西洋美術において、油彩が、その中でも歴史画が一番で、装飾的な応用芸術は格が下だというアカデミスムの伝統的な考えが背景にあったのかもしれません。

ニース市マティス美術館展示風景 2022年 ©Succession H. Matisse pour l’œuvre de Matisse Photo: François Fernandez

長年、遺族の代表としてマティス芸術の普及と保存に尽力した孫のクロード・デュテュイ氏(故人)は、2000年ごろだったでしょうか、「切り紙絵を正当に評価してもらう展覧会をしたい」とおっしゃっていました。希望通り、2014年にニューヨークのMoMA、ロンドンのテートで、切り紙絵の大展覧会が開催され、研究が進みました。切り紙絵は、マティスが長年探求してきた「色とデッサン(線)の関係」を解決する、マティス芸術の到達点として認められるようになったのです。


制作中のマティス 1952年頃 ©photo Archives Matisse / D. R. Photo: Lydia Delectorskaya

マティスは後半生を過ごしたニース市に、多くの作品を寄贈します。ニース市マティス美術館は、マティスの死から約10年後の1963年にオープン。コレクションはその後も遺族の寄贈によって拡張され、充実してきました。この作品は今回の展覧会の前に修復され、所蔵するニース市マティス美術館は「外部への貸し出しは最後の機会となるだろう」と言っています。

マティス 自由なフォルム
国立新美術館 企画展示室 2E(東京都港区六本木7-22-2)
会期:2024年2月14日(水)~5月27日(月)
開館時間:10時~18時 ※毎週金・土曜日は20時まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週火曜日 ※4月30日は開館
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般2200円ほか
展覧会ホームページ:https://matisse2024.jp
 
今津京子/Kyoko Imazu
撮影/小野裕次

撮影/小野裕次

美術展プロデューサー。パリをベースに、今回の「マティス 自由なフォルム」、「ルーヴル美術館展 愛を描く」(2023年)、「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de Mode」(2022年)、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(2020年)など、40年にわたり数十を超える大型展覧会の企画に携わる。日仏英の3か国語を操り、美術、ファッションなどの分野でジャーナリストとしても活動。音楽、演劇、料理、アンティークなどアール・ド・ヴィーヴルをこよなく愛する。

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