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「次男とのやりとりも含めて とても大切な一冊となりました」内田也哉子さん著『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』

2024.03.04

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今月の著者 内田也哉子さん

「立て続けに両親を喪い、ぼんやりとして何も考えられないような状態だった私が、連載で何をしたい?と問われて思ったのは、『人と出会いたい』ということでした」と話す内田也哉子さん。『BLANKPAGE 空っぽを満たす旅』は、2018年秋に母・樹木希林さん、翌年の春に父・内田裕也さんを亡くした也哉子さんが、5年にわたって15人と対話をした季刊誌の連載をまとめたエッセイ集です。

次男とのやりとりも含めてとても大切な一冊となりました

「今お話ししたい人と一対一で、その時々に最適な方法で出会っていこう」というスタンスで、詩人の谷川俊太郎さん宅を訪れたり、占星術研究家の鏡リュウジさんとレストランで会ったり、解剖学者の養老孟司さんと電話で話したり、あるいは自ら車を運転して群馬へ写真家の石内 都さんに会いに行ったり......。文章のスタイルも多彩で、也哉子さんの心の旅を追ったロードムービーを思わせます。

「それぞれが唯一無二の体験でした。一対一だからこそ、お互いに、普段開けないような心の引き出しまで開けられたのかなと思います。シャルロット・ゲンズブールさんとはオンラインで話したんですが、表現者だった親を亡くすという感覚をシェアできて、すっと通じ合える瞬間がありました」

連載を続けるうちに、「自分の中にあった喪失という空洞が徐々に満たされて、目の前の靄が少しずつ晴れていくように感じた」という也哉子さん。本の表紙には、そんな心境を自ら表現した絵が使われています。挿絵は、連載当初から次男の玄兎さんが担当。その画才にも驚かされます。


「毎回、対話内容を伝えつつも、自由に絵を描きたがるのが新鮮で、そんな次男とのやりとりも含めてとても大切な一冊となりました」

両親を亡くして気づいたことも多いと話します。たとえば、その死を大勢の人が悼んでくれたことで、「自分の親というだけではなかったんだな」と改めて実感。

「もっとこっちを向いて構ってほしいと思っていた小さい頃、それは寂しいことでした。でも今は、母や父の存在を分かち合える温かさをたくさんいただいています。そういう親だからこそ、今の私の人生の味わい方があるのだなと」

いまだにふと、「母がいっていたのは、こういうことか」と納得する瞬間があり、母が自分の中に息づいているのを感じるそうです。

「光が当たる面があれば、陰になる面もある。母からは、物事をいろいろな角度や距離から見ることも教わりました。今は、一度空っぽを味わったことで、一人の人間としてもう一度歩き出せる予感があります。今後はぐんと下の世代の人とも出会っていきたいです」

『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』
著/内田也哉子 文藝春秋

季刊誌『週刊文春WOMAN』での5年分の連載をまとめた対話エッセイ。谷川俊太郎、小泉今日子、中野信子、養老孟司、鏡リュウジ、坂本龍一、桐島かれん、石内 都、ヤマザキマリ、是枝裕和、窪島誠一郎、伊藤比呂美、横尾忠則、マツコ・デラックス、シャルロット・ゲンズブールとの対話のほか、一人旅を綴ったエッセイなどを収録。

内田也哉子(うちだ・ややこ)
1976年東京都生まれ。文章家。エッセイ、翻訳、作詞、ナレーションのほか、音楽ユニット「sighboat」でも活動。夫の本木雅弘との間に長男でモデルのUTA、長女の伽羅、次男の玄兎がいる。近著『なんで家族を続けるの?』(中野信子と共著)など。

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この記事の掲載号

『家庭画報』2024年03月号

家庭画報 2024年03月号

撮影/猪俣晃一朗 ヘア&メイク/木内真奈美〈Otie〉 取材・文/岡﨑 香

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