クラシック音楽初心者にもおすすめの1曲！ プロコフィエフが手がけた『ピーターと狼』

クラシックソムリエが語る「名曲物語365」　難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。連載一覧はこちら＞＞

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第187回　プロコフィエフ『ピーターと狼』

イラスト／なめきみほ

日本滞在日記を残した巨匠からのプレゼント

今日3月5日は、旧ソ連の作曲家プロコフィエフ（1891～1953）の命日です。

ペテルブルク音楽院でリムスキー＝コルサコフに師事したプロコフィエフは、在学中からその才能を高く評価された20世紀屈指の大作曲家です。1918年には、ロシア革命の混乱を逃れて日本経由で渡米。シベリア鉄道を経て敦賀港に上陸したプロコフィエフは、アメリカに向かって出港するまでの約2か月間、日本滞在を満喫します。日本各地を巡った体験や、音楽評論家の大田黒元雄（1893～1979）との交流の様子は、プロコフィエフ自身の日記に描かれています。

そのプロコフィエフが手がけた代表作の1つ『ピーターと狼』は、元気な少年が小鳥と協力して狼を捕らえるというストーリーを、ナレーターと小編成のオーケストラで描いた名作です。


物語を楽しみながらオーケストラの楽器に親しむ手法は、英国の作曲家ブリテン（1913～76）の『青少年のための管弦楽入門』と双璧。どちらも、子どもたちに音楽の楽しみを教えてくれる素敵な手引といえそうです。

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田中 泰／Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。