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伝統工芸

漆器に宿る匠の技。第58回全国漆器展「家庭画報賞」受賞作とその魅力

2024.02.19

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〔特集〕第58回全国漆器展の受賞作品から 漆器に宿る匠の技 2023年秋に開催された第58回全国漆器展。美術工芸品部門、産業工芸品部門で2作品が家庭画報賞を受賞しました。その他の受賞作品も含め、今回は「日本の漆芸技法」に着目し、高度な匠の技が発揮された美しい漆器の魅力に迫ります。
令和6年1月の能登半島地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

特集「漆器に宿る匠の技」の記事一覧はこちら>>

「家庭画報賞」受賞作とその魅力

2023年新設された「家庭画報賞」は、テーブルの上で多彩に使えるものを、という視点から選ばれました。使いこなし術とあわせて、その魅力をご紹介します。

家庭画報賞 美術工芸品部門
「市松長重」坂本彰彦(津軽塗)

友人を招いてお茶を楽しむホームパーティには、サーモンパテ、チーズの盛り合わせなどセイボリーに一段、小ぶりのケーキを入れて一段、もう一段にはカトラリーや器を。丁寧な仕事の津軽塗重箱こそ、最高の目のご馳走。

唐塗(からぬり)、紋紗(もんしゃ)塗を取り入れたシンプルな三段重

三百余年前から、青森県弘前市を中心に制作されている津軽塗は、丈夫な下地を施し、塗っては研ぐことを繰り返して斑紋模様を浮き出します。


「せっかく塗ったものを研いでしまうので、『馬鹿塗』と言われるんですよ」と坂本彰彦さん。あまりにも丁寧な制作法を揶揄した言葉で、2023年は映画『バカ塗りの娘』が公開されました。

木地以外、最初から最後まで一人で行う仕事で「この重箱には4か月近くかかったかな」と。

市松の赤い部分は唐塗。仕掛け篦で凸凹を作り金粉や色漆を重ね研ぎ出すと色彩豊かな抽象模様に。黒い部分は籾殻の炭粉を蒔いて研ぐ紋紗塗。

赤の部分は唐塗、黒の部分には紋紗塗で市松を表現。「ちょっとした研ぎ方の違いによって模様が変化する」といいます。

模様をつけるための篦(へら)の打ち方、塗り重ねた漆の色など作り手によって変化する奥深い技法です。何十層にも薄い漆が重なった津軽塗の堅牢度は抜群。日々の中で慈しみ楽しむ。使い手冥利に尽きる器です。

日本の伝統模様である市松をモチーフにした重箱は、伝統のある津軽塗にモダンで新鮮な雰囲気を加味しながらも、なにやら温かく懐かしさをもつ。飾っておいても美しいが、柔軟な発想で、日々の暮らしに生かしたい。

市松長重
坂本彰彦(津軽塗)
25×15×高さ16.4センチ 46万2000円
住所:青森県北津軽郡鶴田町大字瀬良沢字村井34-1
TEL:090-7792-2758
数量限定で家庭画報ショッピングサロンで販売中。 https://shop.sekaibunka.com

(次回に続く。この特集の一覧>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年03月号

家庭画報 2024年03月号

撮影/久間昌史 スタイリング/佐藤由美子 取材・文/片柳草生 取材協力/日本漆器協同組合連合会 手作りの品のため、サイズや色、形、仕上がりなどが、 写真や説明と異なる場合があります。

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