連載 おいしい漢方【4月】 国際中医薬膳管理師であり漢方アドバイザーの久保奈穂実さんが、4月を健やかに過ごす養生の知恵と、疲れを癒すおいしい漢方レシピをお届けします。「養生」とは、病気になる前の「未病」の段階で体を整え、病気を未然に防ぐという中医学の考え。今日から無理なく、簡単養生&漢方生活を始めませんか? 読むだけで薬膳漢方の知識が身につく『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』(世界文化社)から一部を抜粋してお届けします。
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文・久保奈穂実(くぼ・なおみ) 4月5日頃は、二十四節気で「清明(せいめい)」と呼ばれます。これは 「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」という言葉の略で、すべてのものが清らかで生き生きしているという意味。春の澄み渡った青空は、正に清浄明潔ですよね。
ストレスを感じたときはふーっとゆっくり長く息を吐いて、 春の新鮮な空気を取り込むと、気が巡ってスッキリしますよ。
・バリアを張らず、スルンと受け流そう
漢方相談をしていると、「嫌な人問題」を抱えて不調になっている人がたくさんいます。職場や親戚など、苦手だけど顔を合わせないわけにはいかない関係で、そのストレスから不調になってしまうのです。
そんな人の共通点が「バリア」を張ろうとしているということ。バリアを張ると、嫌な言葉を言われたとき、自分にドーンとぶつかるし、相手にも跳ね返してしまいます。
ずっとバリアを張っているということは、ずっと気を張っている=ずっとエネルギーを消耗しているということ。これでは疲れちゃいますよね。
大事なのはバリアではなくて、スルンと受け流せる状態を保つこと。この違い分かりますか? 体の状態を整えておけば、急に降ってかかったストレスを、スルンと受け流せます。日々の養生で体の調子を整えておきましょうね。
・気疲れした日は、たことアスパラ
環境の変化や新たな人づき合いなどで気を使い、疲れていませんか。文字通り、気を使う=元気を消耗しているわけですね。そんなときには、「たことアスパラのアヒージョ」を。
たこは補気食材で、マッシュルームは気を巡らせる食材。さらに、たこにはタウリン、アスパラガスにはアスパラギン酸、マッシュルームにはグルタミン酸、にんにくにはアリシンが含まれ、これらはすべて栄養ドリンクによく入っている疲労回復成分! このレシピは体を元気にする食材が一気にとれる「食べる栄養ドリンク」なのです。
【たことアスパラのアヒージョ】1.ひと口大に切ったたことマッシュルーム、スライスにんにくを並べ、具材が2/3浸るくらいオリーブオイルを入れて弱火にかける。
2.マッシュルームがしんなりしたら、アスパラを加えてぐつぐつ。軽く塩を振って完成。火を入れすぎないのがポイント。
・疲れた自分へ甘酒を
疲れやイライラがたまっていたら、頑張っている自分へのごほうびに「いちご甘酒」を。
甘酒といちごは、元気と潤いを補って、イライラも緩和してくれる組み合わせ。甘酒は美容にも健康にもよく、「飲む点滴」とも呼ばれていますが、まったりとした独特の甘さが苦手な人も多いのでは? いちごを入れるとスッキリと飲みやすく、幸せなおいしさに。値段が安めのいちごのほうが酸味が強くて、より甘さが抑えられます。
【いちご甘酒】米麹で作られている無糖の甘酒といちごをミキサーにかけるだけ。お好みで水やお湯で割ってもOK。ミキサーがなければ、スプーンでいちごを潰しながら飲むのもおいしいですよ。
・風門を温めて「風邪」の侵入を防ぐ
春は体に風の邪気=「風邪(ふうじゃ)」が入りやすい季節。風邪が入ると、カゼを引きやすくなります。
対策には、「風門(ふうもん)」のツボを温めて。風邪はこのツボから入ってくるとされます。悪寒を感じたらここにカイロを貼ったり、ドライヤーなどで温めて邪気を追い出しましょう。普段から風門を風にさらさないように気をつけることも大切。
【風門のツボ】左右の肩甲骨の間の、首を前に倒したときに飛び出る骨の、上から2 つめから指2本分外側の左右にあります。
『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』
1760円(世界文化社)
疲れたとき、なんだか辛いとき、漢方の知識があれば自分で自分を癒すことができます。本書では、SNSで大人気の漢方アドバイザー・久保奈穂実先生(なおみん)が、1日1テーマ、365日、あなたの毎日に寄り添う漢方アドバイスをお届けします。身近な食材でカンタンに作れる「養生レシピ」113点、今すぐ実践できる「セルフケア」のアイデア252点、1日ひとつ読むだけで、季節ごとの不調が整っていきます。
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久保奈穂実(くぼ・なおみ)/なおみん国際中医薬膳管理師。漢方アドバイザー。成城漢方たまりで年間約2000人の漢方相談・薬膳講師を行う。女子美術大学造形科卒業。芸能・音楽活動を行い、ハードな生活で身体のバランスを崩す。漢方薬に助けられた経験から興味を持ち、イスクラ中医薬研修塾にて中医学を学ぶ。SNSにて発信するやさしい養生知識や、カンタン薬膳レシピが大人気。総フォロワー約9万人(2023年4月現在)。