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子育てを終えた人が陥りやすい「空の巣症候群」とは?親と子が自立した関係を保つために心がけたいこと

2024.03.06

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更年期世代のお悩み解決 心が楽になる“幸せ習慣” 第3回 子どもはいつか自立していくものとわかっていても、いざ離れていったときの寂しさ──。程度の差はあれ多くの親が経験することですが、空虚感が大きすぎると幸せとはいえません。幸福学を研究するお二人からのアドバイスは、「育児に費やしたエネルギーを世の中のために」でした。前回の記事はこちら>>

子育てをやり遂げた経験と自信を「次の役割」に生かしましょう

「子どもが巣立ち、心にぽっかり穴が開いた。私の役割はもう終わり?」

前野隆司先生
前野隆司先生

まえの・たかし 日本の幸福学研究の先駆者。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。幸福学を世の中に役立つように応用し社会全体の幸せを目指す。

前野マドカさん
前野マドカさん

まえの・まどか 夫の隆司氏とともに幸福学を研究。幸せな社会を目指す会社「EVOL」を経営。幸せを広めるワークショップ、コンサルティング、研修活動、講演等を行う。

心が楽になる“幸せ習慣”

「あなた自身の夢は何?」この言葉が目標を持つきっかけに

子育てを終え、このようないわゆる「空の巣症候群」に陥る方も多いようです。

マドカさん 私もかつては子ども中心の生活でした。もしその状態が続いていたら同じ気持ちになっていたかもしれません。転機が訪れたのは、夫がハーバード大学勤務中に家族でアメリカ暮らしをしていたときでした。当時子どもは0歳と4歳。大学近くの公園で顔見知りの母親に「マドカの夢は何?」と聞かれ、「子どもが立派に育つことかな」と答えると、呆れた様子で「そうじゃなくて、あなた自身の夢を聞いているの」。彼女は学生で、時間になるとベビーシッターに子どもを預けて教室に向かうのです。さらに側にいた92歳の女性が当たり前のように「私の夢は絵本を描くことよ」。子育てしながらも年をとってからも目標を持って自分の人生を生きている……衝撃でした。私は自分の夢なんて考えたことがなかったので。


前野先生 欧米では幼いときから“親は親、子は子”と自立を促す育児をします。日本でも若い世代が同様に考え始めた一方で、親世代にはまだ子どものために尽くすべきといった古い概念も残っている。価値観の過渡期の中で、子に依存する親と自立したい子の間でギャップが生じたり、子も親に依存する共依存に陥ったり。どちらも幸せな状態とはいえませんね。親が子育て中から夢ややり遂げたい仕事を持っていれば、互いに依存せずよい距離感の親子関係を保つことができるのですが。

マドカさん そうはいっても簡単に見つかるものではありません。帰国後、とにかく何か育児以外のことをやってみようと私が始めたのが小学校のPTA役員でした。結局、8年間続けて、会長まで引き受けることになり。多様な価値観の保護者や先生たちとの活動は大変なこともありましたが、人脈も視野も広がって、結果的に今の研究や仕事に結びついたように思います。

イラスト/浜野 史 取材・文/浅原須美

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