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【松岡修造の健康画報】「目の健康のため、何をすればいいですか?」眼科専門医平松類先生に聞く

2024.02.15

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松岡修造の人生百年時代の“健やかに生きる”を応援する「健康画報」

年を重ねるにつれ、増えていく目の不調や病気について、今回、理路整然とわかりやすく教えてくださったのは、眼科専門医の平松 類先生。より多くの人に正しい知識を届けようと、目の健康を中心にさまざまな情報を発信されているYouTubeチャンネルは大人気です。松岡さんにとって、目から鱗が何度も落ちるインタビューになりました。

前回の記事はこちら>> 連載一覧はこちら>>

検眼用フレームをかけた姿がどことなくユーモラスな松岡さんと、平松 類先生。先生が副院長を務める東京の二本松眼科病院にて。(松岡さん)スーツ、ベスト、シャツ、ネクタイ、チーフ、ベルト、靴/コナカ

検眼用フレームをかけた姿がどことなくユーモラスな松岡さんと、平松 類先生。先生が副院長を務める東京の二本松眼科病院にて。(松岡さん)スーツ、ベスト、シャツ、ネクタイ、チーフ、ベルト、靴/コナカ

二本松眼科病院副院長、眼科専門医 平松 類先生

松岡さんが平松先生ご自身の目について伺うと、「あまり健康ではありません」とのお返事。「顕微鏡手術などで目に負担をかけているので。だから、眼科医は眼鏡をかけている人が多いんです」。

平松 類先生(ひらまつ・るい)
1978年愛知県生まれ。眼科専門医、医学博士。昭和大学医学部卒業後、昭和大学病院、今泉西病院に勤務。その後、昭和大学大学院を修了し、再び昭和大学病院に勤務。三友堂病院眼科科長、彩の国東大宮メディカルセンター眼科科長を経て、現在は二本松眼科病院副院長として全国から訪れる患者を診療。YouTubeチャンネル「眼科医平松類」は登録者数22万人以上。『眼科医が警告する視力を失わないために今すぐやめるべき39のこと』など著書多数。

「目の健康のため、何をすればいいですか」── 松岡さん

「50歳を過ぎたら、ぜひ眼底検査を。目薬のさし方も重要です」── 平松先生


松岡 目の病気のなかで、非常に多くの人がかかるという白内障と緑内障について、教えていただけますか。

平松 白内障はもともと透明な眼球のレンズが白く濁っていく病気で、80歳以上の人の99.9パーセントが発症します。

松岡 99.9! ほぼ全員ですね。

平松 はい。白髪みたいなイメージですね。症状が軽度で、治療をしないまま一生を過ごす人もたくさんいます。

松岡 主な原因は何ですか。

平松 最大の原因は加齢と紫外線です。目はむきだしの臓器で、光の影響を受けやすいのですが、フィンランドと奄美大島を比べると、より紫外線量の多い奄美大島のほうが白内障患者が多いという研究結果もあります。白内障の手術は、白濁した水晶体を取り除いて、代わりに人工のレンズを入れるというものですが、現在は近視と乱視も一緒に治療できます。70代で手術する人が多いのですが、大抵の場合、若いときより見えるようになるんですよ。

松岡 それはすごい! 視界とともに、気持ちも明るくなりますね。

平松 そうなんです。だから、あまり悲観的にならないでほしいですね。

松岡 先生が専門とされている緑内障はどんな病気でしょうか。

平松 徐々に視野が欠けていって、治療をしないと失明してしまう病気です。日本人の失明原因の第1位で、40代以上の約20人に1人かかります。怖いのは、初期や中期は何も自覚症状がなく、気づいたときには末期ということ。でも、早めに気づいて点眼治療を始めれば、まず失明することはありません。

大切な目を守るためにしたいこと、しないこと

松岡 緑内障を予防するために、日常でできることはありますか。

平松 近視にしない生活や、光のダメージを抑えることですね。

松岡 よく、夜寝ながらスマホを見るのはよくないと聞きますが、これも光が関係していますね。

平松 はい。我々は本能的に光っているものをよく見ようとするため、まばたきが減るんですね。ぼーっとしているときは1分間に大体20回なのが、読書中は12~15回、スマホを見ているときは6、7回。また、スマホと目の距離が近いのもよくない。一般的に、本は30センチ、スマホは20センチ離れて見ているものなのですが、この10センチの差が結構大きい。部屋が暗かったり、寝ながらだと、さらに距離が近くなりがちです。

松岡 そして、スマホのブルーライトを浴びることで眠りが浅くなるのですよね。よくないことばかりですが、それでも寝る前にスマホで動画を観るのが好きでやめられない!という人がいたら、先生はどうされますか。

平松 悪い点はお話ししたうえで、本人にお任せします。健康のために幸せを犠牲にするのは違う気がするので。デメリットをわかってやっているならオーケーですよ、ということですね。

松岡 なるほど。僕は花粉症もあり、疲れると、つい目をこすってしまうのですが、それもよくないそうですね。

平松 網膜剝離という病気はご存じでしょうか。ボクサーの人に多いのですが、実はアトピー性皮膚炎の患者さんにも多いんです。

松岡 もしかして、目を掻くという行為が、目にパンチをしているようなものであるということですか。

平松 ええ。MRIで調べてみると、掻くだけで眼球がたわむというか、歪むというか、パンチをするのに近いダメージを与えてしまっていることがわかります。みなさん、眼球を硬いボールのように思われているかもしれませんが、どちらかというと水風船に近く、非常に刺激に弱いのです。

松岡 掻かないためには、目薬でかゆみを抑えるのがいいでしょうか。

平松 目薬は大事ですが、実はさし方を間違っている人が多いんです。松岡さんはどうやって入れてますか。

松岡 眼科の先生のいいつけを守って、目薬を入れたら、30秒は目を開けないようにしています。

平松 いいですね。そのとき、目頭を押さえるとさらにいいですよ。

松岡 それは初耳です。

平松 せっかくの目薬が目頭にある穴から鼻や口に流れていってしまわないようにするためです。山形県米沢市の研究で、目薬のさし方の個別指導をしたことで、薬の効果が倍ほどになったという結果も出ているんですよ。

松岡 素晴らしいですね。

平松 あとは、伊達眼鏡でもいいので眼鏡をかけることも対策になります。

松岡 眼鏡が花粉対策にいいのは知っていましたが、確かに目を掻きづらくするメリットもありますね。

視力検査実施中。最近、老眼鏡を使用しているという松岡さんは、「以前はちょっと抵抗がありましたが、実際にかけてみると楽ですね」。

視力検査実施中。最近、老眼鏡を使用しているという松岡さんは、「以前はちょっと抵抗がありましたが、実際にかけてみると楽ですね」。

病気の早期発見のため、50歳を過ぎたら眼底検査を

松岡 緑内障は早くから治療することが大事とのお話でしたが、早期発見できる検査はあるのでしょうか。

平松 眼底検査というものがあります。瞳孔の奥にある眼底を撮影し、血管、網膜、視神経等を調べる検査で、失明原因1位の緑内障だけでなく、2位の糖尿病網膜症、3位の網膜色素変性症、4位の黄斑変性症など、ほとんどの失明の原因がわかります。

松岡 それは心強いですね。何歳くらいから検査したほうがいいでしょうか。

平松 50歳以降、ベストは40歳以降ですね。写真を見れば、「視野が欠けそうだな」ということもわかります。

松岡 発症前に見つけられるのはいいですね! 自分でできる簡単なチェック法はありますか。

平松 50歳を過ぎたら、片目ずつ、見え方をチェックすることを習慣にしてほしいです。そうすると、今日は左がぼやけて見えるなとか気づけます。

松岡 片目ずつがポイントなんですね。

平松 人は両目で見ていると、どちらか片方が悪くても、なかなか気づかないんですよ。おすすめは、升目になったカレンダーを見てチェックする方法。どこか欠けているとか、変な感じに見えるというのが気づきやすいです。専用の「アムスラーチャート」という格子状の図形もあって、インターネット上で検索すると出てきます。

「YouTubeを観た患者さんには『緑内障とは』の説明に時間を割かなくていい分、より踏み込んだ話ができるようになりました」

「YouTubeを観た患者さんには『緑内障とは』の説明に時間を割かなくていい分、より踏み込んだ話ができるようになりました」

目について解明されているのはまだごく一部

松岡 先生は目をどういうものとして捉えていますか。

平松 サイエンティフィックにいうと、外部の情報の「入力器官」。もう1つは、「目は心の鏡」といいますが、心理状態が大きく影響する臓器であると捉えています。たとえば、目に何も問題がなくても、抑うつ状態だと見えづらかったりしますので。

松岡 なるほど。僕は現役時代、テニスの才能はないといわれながら、世界的なコーチたちから「ボールを見つめる目がいい。世界にいける」といわれていました。先生はそういう話を聞いて、どう思われますか。

平松 そういうことはあるだろうなと理解できます。私はパッと見て、「目が若い」と感じることがありますが、何がどう若いのかは説明できません。

松岡 僕もたまに「マンガで見るようなキラキラした目の人って、いるんだな」と驚くことがあります。

平松 原理原則として、目について医学で解明されているのは、まだごく一部だということがあります。

松岡 目にはまだまだ秘めた力があるということでしょうか。

平松 「入力器官」以上のものが確実にあるだろうと思っています。

松岡 奥深いですね。僕は早速、眼底検査の予約を取ります!

修造の健康エール

僕は以前から、テニスにおいて目が非常に重要だと考えていて、ジュニア選手の強化合宿では、「心技体に目、そのすべてが整った状態が理想」と話してきました。なかでも、僕が目の重要性を強調してきたのは、テニスにおける情報は基本的に全部目から入ってくるからです。

情報を見る目に力が入ってしまうと、視野が狭くなり、体がスムーズに反応できず、いいプレーができません。今回、平松先生から、目と心は影響し合っていることなどを具体例とともに伺い、目の重要性を再認識しました。

これからも「心技体目」がいかに大事かをジュニア選手たちに伝えるとともに、自分自身も目を健康に保つ努力をしていこうと思います。読者のみなさんにもぜひ、2つしかない目を大切にしていただきたいです。

松岡修造さん(まつおか・しゅうぞう)
1967年東京都生まれ。1986年にプロテニス選手に。1995年のウィンブルドンでベスト8入りを果たすなど世界で活躍。現在は日本テニス協会理事兼強化育成本部副本部長としてジュニア選手の育成・強化とテニス界の発展に尽力する一方、テレビ朝日『報道ステーション』、フジテレビ『くいしん坊!万才』などに出演中。『修造日めくり』はシリーズ累計210万部を突破。近著に『教えて、修造先生! 心が軽くなる87のことば』。ライフワークは応援。公式インスタグラム/@shuzo_dekiru

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年02月号

家庭画報 2024年02月号

撮影/鍋島徳恭 スタイリング/中原正登〈FOURTEEN〉(松岡さん) ヘア&メイク/大和田一美〈APREA〉(松岡さん) 取材・文/清水千佳子

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