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人間には演奏不可能と言われた超難曲。リストの『超絶技巧練習曲』

2024.02.26

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クラシック音楽を楽しく学べるトリビアを毎日お届け。

クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。連載一覧はこちら>>

第179回 リスト『超絶技巧練習曲』

イラスト/なめきみほ

イラスト/なめきみほ

人間には演奏不可能と言われた超難曲

今日2月26日は、旧ソ連のピアニスト、ラザール・ベルマン(1930~2005)の誕生日です。

旧ソ連の“鉄のカーテン”の向こう側から不意に登場してきたベルマンが、1970年代のクラシック界にセンセーションを巻き起こしたことは今も語り草です。デビューアルバムとして発売されたリスト(1811~86)の『超絶技巧練習曲』の帯に書かれた「リヒテルと私が2人がかりでも敵わない」というギレリスのコメントと、ピアノが床にめり込むのではないかと思わせる鋼鉄のタッチに驚愕したことは懐かしい思い出です(リヒテルとギレリスは、20世紀を代表する大ピアニスト)。

この曲は、21歳のリストが、ヴァイオリンの鬼才パガニーニ(1782~1840)の圧倒的な演奏を聴いて「私はピアノのパガニーニになる。そうでなければ気が狂う」と叫んだという有名な逸話から生まれた一連の超絶技巧作品の1つです。特に初版は「人間には演奏不可能」と言われるほどの難曲だけに、果たしてリストはこれを弾きこなしていたのや否や。想像するだけでも背筋が凍りそうです。



田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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