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聴衆が暴動を起こすほどの革新的な音楽⁉ 新ウィーン楽派の作曲家・ベルクの『ピアノソナタ』

2024.02.09

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クラシック音楽を楽しく学べるトリビアを毎日お届け。

クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。連載一覧はこちら>>

第162回 ベルク『ピアノソナタ』

イラスト/なめきみほ

聴衆が暴動を起こしたほどのピアノ曲とは

今日2月9日は、新ウィーン楽派の作曲家アルバン・ベルク(1885~1935)の誕生日です。

シェーンベルク(1874~1951)に師事し、無調音楽から十二音技法に至ったその作風は、ロマンチックかつ劇的なものです。そのベルクの代表作『ピアノソナタ作品1』は、ベルクが作品番号付きで生前に発表した唯一のピアノ曲です。シェーンベルクからの“卒業作品”的存在のこの曲は、恩師の助言によって、1楽章のみで発表することとなった10分ほどの作品です。

『弦楽四重奏曲作品3』とともに、1911年4月24日にウィーンで行われた初演においては、その革新的な音楽に苛立った聴衆が暴動を起こしたと伝えられます。この逸話は“クラシック史上最大のスキャンダル”といわれる、ストラヴィンスキー(1882~1971)のバレエ『春の祭典』の初演(1913年5月29日パリ)にも通じるようでとても興味深い話です。


今やどちらも20世紀を代表する名曲中の名曲であるだけに、時代を超越した作品の影響力がしのばれます。それにしても当時の聴衆の感性と熱さにはびっくりです。


田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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