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鼻づまり体質を改善。「副鼻腔炎」に特化した鍼灸治療に取り組む、林 由紀子先生(ハチドリ鍼灸院)

2024.01.17

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新世代の鍼灸師に訊く 第2回(1) 鍼灸院は「未病を予防する」ことから「病気を改善する」ことまで守備範囲が広く、身近な健康アドバイザーとしてもっと活用したい医療施設の一つです。前回の記事はこちら>>

更年期から起こりやすいトラブルの予防法・解決法「副鼻腔炎」

林 由紀子先生(ハチドリ鍼灸院)

林 由紀子先生(ハチドリ鍼灸院)

ハチドリ鍼灸院 院長 林 由紀子(はやし・ゆきこ)先生
1975年、東京都生まれ。日本大学短期大学部文学科卒業。宝石店勤務を経て鍼灸師の資格を取得。2001年、02年に上海中医薬大学短期留学。マッサージ院、整骨院、鍼灸院、漢方薬店での勤務を経て、15年に橋本鍼灸院を開業。21年、2軒目の鍼灸院の開業を機に改名。鼻や喉の症状に特化した鍼灸院として全国から患者が来院する。2児の母。

弱った肺と胃の機能を活性化させて「鼻づまり体質」を改善する

ハチドリ鍼灸院院長の林由紀子先生は「副鼻腔炎」に特化した鍼灸治療に取り組んでいます。きっかけは副鼻腔炎の手術を2回行ったにもかかわらず再々発し、困り果てた友人から相談を受けたことでした。

「東洋医学では古くから副鼻腔炎に対する施術が行われてきました。WHO(世界保健機関)が定めた鍼灸の適応疾患リストにもこの疾患は記載されています。友人に副鼻腔炎の施術を行ったところ症状が軽快し手術をせずに済んだのです。それで、この症例を自院のホームページに掲載すると困っている人がとても多いことがわかり、専門に行うことにしました」

林 由紀子先生(ハチドリ鍼灸院)

舌診では、舌の状態から内臓の調子やストレス度などを推測。

再発させないためには体質から見直すことが大切

鼻づまり、鼻水、後鼻漏(こうびろう)(鼻水が喉に流れる)、頭重感、味覚・嗅覚障害といった不快な症状に悩まされる副鼻腔炎は、風邪のウイルスや細菌、アレルギーなどにより副鼻腔の粘膜に炎症が起こることで発症します。この中でも50代を中心に増加している好酸球性副鼻腔炎は従来の治療薬が効きづらく、鼻茸と呼ばれるポリープが多発し、手術をしてもすぐに再発する難治性の疾患であることが知られています。


「好酸球性副鼻腔炎を含めて副鼻腔炎が治りにくくて再発しやすいのは、体が弱ると鼻に不調が現れやすい“鼻づまり体質”がベースにあるからだと考えています。この体質を改善することが副鼻腔炎を根本から治すことにつながります」

東洋医学では体の機能を「肝・心・脾・肺・腎」の五臓に分類して全身のバランスを捉えています。「肺」が弱ると、鼻や気管支、喉など呼吸器にかかわる機能が低下すると考えられています。

また、消化器系の機能にかかわる「脾」は「肺」の活性化を促すため、「脾」が弱ると「肺」に影響が出やすいとされます。さらに消化器系の機能が低下すると、体内の老廃物が増加して、鼻水や膿の材料となり、鼻症状の悪化や慢性化を招きます。

「鼻づまり体質を改善するために、鍼灸治療では、肺と脾を活性化させる施術を中心に行っていきます。さらに患者さんにはセルフケアをアドバイスし、日常生活の中で養生に取り組んでもらうことを重視しています」

迎香

鼻水・鼻づまりの特効ツボの「迎香」は鍼灸治療やセルフケアでもよく使われる。

照海

内くるぶしの真下にある「照海」は、免疫力を高めるツボとして知られている。長年病気を患ってきた人や症状が重い人の鍼灸治療に用いることが多い。

食生活をコントロールして副鼻腔炎の悪化を防ぐ

林先生によると、副鼻腔炎の人は体質的に消化器の問題を抱えていることが多いといいます。「生来胃腸が弱かったり、暴飲暴食による食滞(胃もたれ)を起こしていたりと原因はさまざまですが、原因に応じて経絡(けいらく)※(胃経)やツボを選び、鍼で刺激して胃腸の調子を整えていきます」。

※経絡とはエネルギーが流れる通路のことで、全身に12本の特性を持った流れがある。肺経・胃経もその1本。

同時に患者には、食事療法として副鼻腔炎を悪化させると考えられている甘いものや味の濃いもの、香辛料、小麦製品などの摂取を控えること、老廃物の排出を促すために1日の食事量のうち4割程度を占める量の葉物野菜をとることなどに取り組んでもらいます。「食事療法はとても効果的です。アドバイスを続けるうちに自分の食べ方や食べたものと副鼻腔炎の症状や状態を関連づけて考えられるようになり、患者さん自身でコントロールできるようになります」。

また、日常には食事だけでなく冷えや運動不足など鼻づまり体質につながる要因が潜んでいます。林先生は、これらの要因についても患者との会話を通して丁寧に探り、鍼灸治療や養生を用いて改善に導いていきます。

ハチドリ鍼灸院

子どもの鼻づまりには皮膚をさすって刺激する小児鍼(写真右)で治療する。冷えによる鼻水にはセルフケアとしてお灸(写真左)もすすめる。

鍼灸治療や養生では十分に対応できない場合は漢方や現代医学と組み合わせるのも林先生の診療の特色です。「ほかの治療を併用するほうが効果的だと判断したら、信頼する漢方医、呼吸器科医、耳鼻咽喉科医に患者さんを紹介しています。医療連携をさらに充実させて、患者さんの状態と希望に応じた最適な方法を提供していきたいです」。

診療案内

赤坂サロン/東京都港区赤坂1-1-17 細川ビル412
中野サロン/東京都中野区若宮1-55-5
フリーダイヤル:0120-497-687(赤坂・中野サロン共通)
予約制
診療時間/月曜~土曜10時~19時
月曜・水曜・土曜 赤坂サロンのみ 21時まで
休診日/日曜
診療費/初診料3000円(税込み)
鍼灸治療1万2000円(税込み)
https://hachidori87.com/

ハチドリ鍼灸院
※次回へ続く。

連載「新世代の鍼灸師に訊く」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年02月号

家庭画報 2024年02月号

撮影/八田政玄 取材・文/渡辺千鶴

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