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戸隠の龍に出会う。神話学者の平藤喜久子さんが龍神信仰の中心地・戸隠神社を訪ねて

2023.12.22

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戸隠神社では天の岩戸神話にゆかりの神々が祀られていますが、そのなかにはじめて出会う神がいました。九頭龍大神(クズリュウノオオカミ)です。岩戸が飛来したときにはすでに土地の主であったといいます。龍は水の神として古くから各地で信仰されてきましたが、戸隠ではとくに水源を守り、雨を降らせる神として篤い信仰を受けていたようです。

古来、人々は干ばつの折に種池の水を汲んで戸隠神社に祈願した。湧出と流出口のない池で、静寂に包まれた神秘的な雰囲気が漂う。

戸隠神社の水野邦樹宮司によると、昔から干ばつのときには黒姫山の近くにある種池の水を汲み、九頭龍社で祈願をし、その水の入った桶を一度も地面に下ろすことなく持ち帰って田畑にかけると、その場所に雨が降るといわれてきたそうです。現在でも六月の巳の日には神事が行われています。

戸隠山と黒姫山の中間にある種池の水をご神水として汲み入れた桶。水を司る農業神・九頭龍大神への篤い信仰を物語っている。

そのお話を伺って、さっそく種池へ。鬱蒼と笹が茂る登山道を歩くと、さまざまな草木に囲まれた種池に出ます。雨を欲した人々は、たっぷりと水をたたえ森を育む種池を見て、九頭龍大神の恵みを感じ、期待したことでしょう。種池だけでなく、近くには古池や、多くの人が訪れる鏡池など、大小さまざまな池、沼があり、水が豊かであることを感じさせます。


水の恵みと太陽の恵み。九頭龍と天の岩戸はわたしたちの暮らしに欠かすことができないこの二つを象徴しています。美しい鏡池に映る峻厳な戸隠山の風景は、この地が龍と神々に守られてきたことを教えてくれました。

●平藤喜久子さん(ひらふじ・きくこ)
神話学者。國學院大學神道文化学部教授。神話が日本でどのように読まれ、伝えられ、表現されてきたかを研究している。最近は、カメラを片手に神話の舞台を歩く「神話のフィールドワーク」を行っている。

戸隠神社中社の境内と宝物殿を案内してくださった水野邦樹宮司と、お話を聞いた平藤喜久子さん。中社の拝殿の背後には、神域に流れる水が集まる「さざれ滝」がある。

戸隠神社
住所:長野市戸隠3506
TEL:026-254-2001

(次回へ続く。この特集の一覧>>

撮影/本誌・坂本正行 文/平藤喜久子

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