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縁起の良い干支「辰」モチーフの迎春菓。2024年のお正月を彩る限定セット

2023.12.19

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エッセイ連載「和菓子とわたし」

「和菓子とわたし」をテーマに家庭画報ゆかりの方々による書き下ろしのエッセイ企画を連載中。今回は『家庭画報』2024年1月号に掲載された第30回、坂本紫穗さんによるエッセイをお楽しみください。

vol.30 受け継ぐもの
坂本紫穗

春の蓬よもぎ餅、盆と彼岸のお団子とおはぎ、月見のお団子、正月の水羊羹。


実家で過ごした高校生までの尊い日常。

私の四季は家族の手作り和菓子とともにありました。

春の陽が優しく包む頃、祖母と一緒に畦道で蓬を摘みに行き、それを湯掻いてすり鉢ですり潰し、蒸した餅生地と混ぜて蓬餅に。お団子は台所の床で祖母と母と兄と妹と一緒に丸めて。和菓子を作る日の前の夜は母が小豆を水に浸します。翌朝起きて台所に向かうと、母の茹でる小豆の香りと蒸気に家中が包まれました。そうした日はお手伝いをするために身支度を急いだのを覚えています。摘みたての蓬は香りがよく、みんなで丸めた団子は柔らかく、母が炊く餡子は甘さ控えめで小豆の風味は豊かで。そして何より手作りの和菓子を家族や親戚とお喋りをしながら頂く時間は、穏やかな空気に満ちたほっとする時間でした。私は幼いながらに手作りの和菓子の美味しさと温もりを愉しんでいたように思います。

私には七歳離れた妹がおりまして、小さくてか弱い妹が大切で仕方ありませんでした。妹には当時、食物アレルギーがあり、甘味といえば和菓子しか食べられず、お誕生日も和菓子で祝いました。おかげさまで彼女は今でも家族一の和菓子好き。そうしたこともあり、私は「和菓子」という存在を心よりありがたく感じております。そして「和嘉子」という妹の名が「わがし」とも読めるのは幼い頃からの私のお気に入りなのです。

和菓子を仕事にしようと決めた時は、こうした和菓子と家族の記憶が原風景と
なって自分を支えていたように思います。

手帳を見ながら宇都宮の実家に帰省する日取りを考えるこの時期。もう少しで
母の、あの滑らかで香りの良い水羊羹が食べられると思うと自然と顔もほころびます。それを励みに今日も一日頑張れそうです。

昨年娘を出産し、私も母になりました。

自分が娘のためにこれから何か特別なことをしてあげられるかは分かりません
が、和菓子を作る時の優しく温かな気持ちはしっかりと母から受け継ぎたいと思っております。

坂本紫穗
和菓子作家。オーダーメイドの和菓子を作品として制作、監修を行う。日本国内および海外で和菓子教室やワークショップを開催。映画『利休にたずねよ』の公式タイアップ茶会や、ブランドのVIPイベントなどでの和菓子制作、「宗家 源 吉兆庵」とのコラボレーションなど、多岐にわたって活動。「印象を和菓子に」をコンセプトに、日々のあらゆる印象を和菓子で表現し続ける。
宗家 源 吉兆庵
TEL 0120-277-327
https://www.kitchoan.co.jp/
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