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ディオール美の殿堂を訪ねて。パリ モンテーニュ通り30番地という“伝説の場所”

2023.12.19

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エレガンスの最高峰 パリ本店の秘密 ディオール 美の殿堂を訪ねて 1946年に、クリスチャン・ディオールが自分の名を冠したクチュールメゾンを開いた場所、それがモンテーニュ通り30番地でした。以来、メゾンの成長を見守ってきた館は、2年間の改装を経て、2022年全く新しい姿に生まれ変わりました。ブティック、オートクチュールのサロン、レストラン、ギャラリー、そして1日1組だけ泊まることのできるスイートまで、ディオールのすべてを堪能できる夢の館にご案内します。

「30モンテーニュ」という伝説の場所へ

パリ8区、ゴールデン・トライアングルと呼ばれる界隈の中心の、モンテーニュ通りとフランソワ1世通りが交差する角に翼を広げるように建つ「30 モンテーニュ」。ブティックの入り口がちょうど角にあり、右にはオートクチュールのサロンやスイートの入り口が、左にはギャラリーのエントランスがある。

「ここはすべてが始まった場所。唯一無二の聖地です」

数々の美しいドレスに心奪われながら、メゾンの75年以上の歴史を体感できるのが2022年にオープンしたギャラリーです。ミニチュアが壁いっぱいに並んだ白い階段を上りきった3階から、13の展示室がスタートします。

「建物の建築様式を活用して、セノグラフィー(舞台装飾)のストーリーを考えました。家のような、部屋が小さくて窓があり、庭があり、部屋から部屋につながっている場所であるという制約を強みにしたのです。ここは、すべてが始まった場所であり、唯一無二の場所です。魂が存在する場所であり、訪れればきっとそれを感じることができるでしょう」と語るのは、ギャラリーのセノグラフィーを担った、ナタリー・クリニエールさんです。

ディオールの名作ドレスが並び、メゾンの歴史を知ることができるギャラリーの入り口で迎えてくれるのは、螺旋階段の周囲を囲むミニチュアの数々。クチュリエたちが手作りした小さなドレスは452点、3Dプリンターによってバイオ素材で作られたアクセサリーは1422点。合わせて1874点もの愛らしいオブジェは、上階へ行くに従い虹のように色彩が変わっていく。階段を上り終わったら、いよいよ13の展示室へ。

クチュールメゾンとしてスタートした初期は、この館のサロンでショーが行われていた。その頃の支度部屋はそのまま残されており、まるで今までモデルたちやスタッフがいたかのよう。ディテールやアクセサリーまで見事に再現された空間は、ギャラリーの一室のガラス張りの床から、眼下に覗き込むことができる。

部屋ごとに、大胆な装飾と緻密な構成で、ムッシュ ディオール以来6人のクリエイティブ ディレクターたちが紡いできた壮大な物語を伝えています。


ムッシュの人生とメゾンの草創期から、ムッシュのデスクやショーの支度部屋の再現、スターたちが身につけたドレスや名作バッグまで、あらゆる角度から楽しめます。

「ここでは、すべての作品をじっくり見ていただけます。展示用のショーケースはなく、ビジターとドレスの間に壇もありません。ドレスの官能性を感じることのできる、親密な空間です」とナタリーさん。

クチュリエたちの手仕事による、刺繡やカットの精緻な美しさを間近で目にすることができるのは貴重です。

「美術館での仕事は、過去の美しいものに触れることが多いですが、ディオールは現在も存続し、クリエイティブであり続けているメゾンです。ギャラリーでは、今まで公開されたことのなかった傑作の数々を見ていただくことができ、過去と現在をつなぐことができます」とナタリーさん。

ギャラリーを訪れることで、現在のディオールのクリエイションにも、いっそう親しむことができるのです。

ギャラリーに足を踏み入れたビジターを最初に迎えてくれるのが、優美なシルエットでメゾンを代表する名作となった、1947年春夏の「バー」ジャケット。

ムッシュ ディオールが使っていたデスクと椅子、そして、愛用していた小物まで忠実に再現したオフィスは、1952年まで中庭に面したこの小部屋にあった。

デスクの上には、ムッシュ ディオールの手によるデッサンの複製が。

ムッシュ ディオールのオフィス内にかけられている生地見本は、当時の映像資料をもとに忠実に復元したもの。シーズンごとにすべての素材を一覧にして、デスクの横ですぐ見られるようにしていたという。

ショーが「30 モンテーニュ」内で行われていた頃の様子を再現した支度部屋。 左・アーカイヴの帽子やジュエリーを用いて、細部まで往時の佇まいに。壁に沿って鏡が張られ、椅子が並び、まさに劇場の楽屋のよう。 右・モデルやフィッターらがひしめき合って、出番ギリギリまで調整が行われていた様子が目に浮かぶ。

クリスチャン・ディオールが幼少期を過ごした、ノルマンディーのグランヴィルの家の庭園を想起させる展示室。窓越しに、ギャラリーのために造られた屋上庭園が広がっている。展示はこの冬に入れ替えになるが、左手前の1957年春夏の「ミュゲ」(すずらん)ドレス、右奥の1950年の特注のツタの飾りのドレスは引き続き展示される。



ナタリー・クリニエールさん セノグラファー。2017年にパリ装飾美術館で高い評価を受けた「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ」展をはじめ、パリのカルナヴァレ美術館、サンローラン美術館など、数々の舞台装飾を手がける。(c)BRIGITTE LACOMBE

ラ ギャラリー ディオール

住所:11, rue François 1er 75008 Paris
TEL:+33(0)1 82 20 22 00
URL:Galeriedior.com(予約推奨)
営業時間:11時~19時(入館は17時30分まで)
休館日:火曜、1月1日、5月1日、12月25日
入館料:12ユーロ

※1ユーロ=約161.5円(2023年11月9日現在)


(次回へ続く)

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年01月号

家庭画報 2024年01月号

撮影/小野裕次 取材・文/大島 泉

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