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慢性腎臓病(CKD)の怖さや予防、早期発見について。新連載「サイレントキラーの病に備える」

2024.01.12

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サイレントキラーの病に備える 第1回(01)2024年の新連載は、気づかないうちに体を蝕み、進行すると命にかかわる病気を取り上げます。第1回は「慢性腎臓病(CKD)」です。東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻 教授(腎臓・内分泌内科)の南学正臣先生にCKDの怖さや予防、早期発見について伺います。

“気づいたときには手遅れ”にならないように「慢性腎臓病(CKD)」

[お話を伺ったかた]南学正臣先生南学正臣(なんがく・まさおみ)先生

東京大学大学院医学系研究科
教授(腎臓・内分泌内科)南学正臣先生

なんがく・まさおみ 1988年東京大学医学部を卒業後、ワシントン大学腎臓内科に留学。98年から東大附属病院に勤務し、2012年から東大大学院医学系研究科内科学専攻 教授、同大医学部附属病院腎臓・内分泌内科科長、23年東大大学院医学系研究科 研究科長・医学部長。現在、日本内科学会、日本腎臓学会、国際腎臓学会の理事長を務めている。

老廃物の尿への排せつなど重要な働きをしている腎臓

腎臓は、背中側に左右1つずつある、空豆のような形をしたこぶし大の臓器です。腎臓は、血液をろ過して余分な塩分や老廃物を排せつするための原尿を作ります。また、血圧を上げるレニン、血圧を下げるカリクレインやプロスタグランジンを分泌します。

さらに、赤血球の産生を進めるエリスロポエチンの生成、ビタミンDの活性化、体内の水分量やそこに含まれるミネラルの濃度の調整といった重要な働きをしています。

●背中から見た腎臓

背中から見た腎臓

腎臓は、胃や肝臓の背中側の後腹膜腔内に左右1つずつある。右側が少し低い。

●腎臓のしくみ

腎臓のしくみ

1つの腎臓にネフロンが約100万個あり、その中の細い動脈が毛糸玉状になった糸球体で血液をろ過して原尿を作る。原尿は近位尿細管と遠位尿細管を通るうちに水分やナトリウムなどの電解質、アミノ酸が吸収され、尿酸などの不要な物質が排出される。原尿は集合管で濃縮され、1日150~180Lの原尿から100分の1が尿として排せつされる。

この腎臓がゆっくりと傷み、機能を落としていくのが慢性腎臓病(CKD)です。CKDはさまざまな腎臓の病気を包括するもので、20年ほど前に提唱され、定着してきた病気の概念です。日本では20歳以上のおおよそ8人に1人に発症しています。女性に比べて男性にやや多い傾向があります。

自覚症状なく、腎機能が下がり、脳卒中、心筋梗塞の危険が増す

CKDの初期には、自覚症状がありません。「検診や健康診断、あるいはほかの病気の検査を通じて腎機能の低下を指摘され、CKDとわかる人がほとんどです」と南学正臣先生。


CKDは治療しないと徐々に腎臓の機能が落ち、中等症程度になると水分調整がうまくいかずにむくんだり、ホルモンバランスが崩れて高血圧になったり、貧血で息切れや疲れやすさがあらわれたりします。骨が弱くなって骨折のリスクも高まります。進行して腎臓の機能が正常の1割程度にまで落ちると人工透析や腎移植が必要になります(第3回の記事で紹介します)。

腎機能が低下しても腎臓そのものが痛みを発することはありません。また、腎臓の機能はいったん落ちると回復しにくいという特徴があります。

CKDのもう一つ怖い点は、心血管疾患(心筋梗塞や心不全)や脳卒中(脳梗塞と脳出血)の危険性を高めることです。

腎臓は沈黙の臓器といわれます。「症状もなく、いつのまにか腎機能が低下し、そして、血管の病気が進行していく、CKDがサイレントキラーといわれる理由です」。

(次回へ続く。)

・連載「サイレントキラーの病に備える」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年01月号

家庭画報 2024年01月号

イラスト/にれいさちこ 取材・文/小島あゆみ

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