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旅の途中に寒い季節の名物を。冬の京都あつあつ美味めぐり

2023.12.01 | PR

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四季折々に雅な風情で旅人を魅了する京都。比較的静かでゆったりとした時間が流れる冬は大人の旅にぴったりのシーズンです。そして、底冷えする時季だからこそ、温かで滋養に満ちた名物料理もたくさんあります。冬の旅の思い出に残る、とっておきの美味処へご案内します。


〔あつあつ名物鍋 1〕

白味噌仕立ての「元祖ぼたん鍋」──畑かく(鞍馬口)

大輪の紅白のボタンが咲いたような美しさに思わず歓声が上がる「元祖ぼたん鍋」。御所のお狩場だった洛北・雲ヶ畑に生まれ育った先々代が大正7年に洛中のこの地に料理店を開業した際、地元の人の口に合うようにと考案された冬限定の名物鍋です。
炭火で炊くと火がゆっくり入り、いい塩梅に味がととのう。突き出しにはもろこ甘露煮がつく。締めには雑炊のリクエストも可。

炭火で炊くと火がゆっくり入り、いい塩梅に味がととのう。突き出しにはもろこ甘露煮がつく。締めには雑炊のリクエストも可。

猪鍋といえば赤味噌で野趣味を楽しむのが一般的ですが、白味噌のだしで炊き、自家製のポン酢と合わせながらいただく上品な仕立て。囲炉裏を囲んで炭火で炊くスタイルも鍋の内容や仕入れ先も創業以来変わらず、冬眠前の脂肪を蓄えた上質な猪の肉を厳選して提供しています。

お鍋をゆっくり炊くうちに濃厚で深い味わいになり、ごぼうやせり、聖護院大根、白ねぎにはしっかり味がしみ、地元の専門店で作ってもらっている生麩やお餅はふっくらもっちりと。脇役ながらいずれもやみつきになるおいしさです。 

舌の肥えた地元の人たちに長く愛されるだけあって空間やしつらいにも細やかな気配りがゆき届き、椅子席や8名用の囲炉裏の個室も。数寄屋造りの風情を感じながら、炭火で暖をとり、庭を眺めながらゆっくりと過ごせます。

厳選した猪を一頭まるごと仕入れ、白味噌で京風にして提供。

厳選した猪を一頭まるごと仕入れ、白味噌で京風にして提供。

奥行きの深い数寄屋造り。全室個室で、冬以外は京料理の会席が楽しめる。

奥行きの深い数寄屋造り。全室個室で、冬以外は京料理の会席が楽しめる。

畑かく

京都市上京区御霊前通鳥丸西入内構町430
電話 075(441)0610
営業時間 12時〜14時30分(LO)、17時〜20時(LO) 
月曜定休 要予約(2名より)
「元祖ぼたん鍋」1万1000円/11月15日〜3月20日に提供


〔あつあつ名物鍋 2〕

味も風情も野趣たっぷり。熊と猪の味比べ──野むら山荘(大原)

熊肉の甘みと猪のうまみが際立つ味比べ鍋。大原産の野菜のおいしさにも魅了される。

熊肉の甘みと猪のうまみが際立つ味比べ鍋。大原産の野菜のおいしさにも魅了される。

江戸時代から続く呉服商の別荘だった修学院雲泉荘の一部を大原に移築・改修し1987年に創業。地元の豊かな自然に育まれた食材を味わってもらいたいという思いから「軍鶏鍋」をはじめ、3年前にスタートしたひとつの鍋で熊肉と猪肉が食べられる味比べ鍋が人気です。しっかりとした肉質と豊潤なうまみが特徴の「近江しゃも」のさまざまな部位が楽しめる「軍鶏鍋」(手前)と、うなぎの白焼きを炊きながら味わう「滋養鍋」(奥)。

しっかりとした肉質と豊潤なうまみが特徴の「近江しゃも」のさまざまな部位が楽しめる「軍鶏鍋」(手前)と、うなぎの白焼きを炊きながら味わう「滋養鍋」(奥)。

11月の狩猟解禁とともに近郊の山で捕獲される肉は、丁寧に下処理されているので臭みは全く感じられず、洗練されたうまみに誰もが驚かされます。脂身が多いのにギトギトとした脂っこさはなく、熊肉は脂がとろりと溶け、猪肉は弾力があるのに柔らか。醬油ベースの甘みのあるだしと相性がよく、土っぽい香りのごぼうや甘くてとろっとしたねぎ、うまみのあるなめこと合わせるとさらに味に幅が生まれ、箸が止まらないおいしさです。

鍋はグループで味わう大鍋と、銘々でいただく量を少し抑えた小鍋があり、いずれも鍋の前にこの地ならではの川魚や湖魚の料理と、鯖街道にゆかりのあるひと品がつく充実の内容。締めには打ちたてゆがきたての十割そばが供され、緩急をきかせたコース展開です。

鍋の後は喉ごしのよい十割そばを堪能。上・囲炉裏の部屋や庭を一望する広間など、客室はすべて個室。下・四季折々に趣が変わり、冬は雪景色に包まれることも。

鍋の後は喉ごしのよい十割そばを堪能。

囲炉裏の部屋や庭を一望する広間など、客室はすべて個室。

囲炉裏の部屋や庭を一望する広間など、客室はすべて個室。

四季折々に趣が変わり、冬は雪景色に包まれることも。

四季折々に趣が変わり、冬は雪景色に包まれることも。

野むら山荘
京都市左京区大原野村町236
電話 075(744)3456
営業時間 12時〜15時、17時30分〜21時 
木曜定休 要予約
「熊と猪の味比べ小鍋コース」昼・夜1万2000円〜/11月下旬〜3月下旬に提供 「軍鶏小鍋コース」昼5300円〜、夜7900円〜「うなぎ小鍋コース」昼7300円〜、夜1万円〜/ともに通年提供


〔あつあつ蒸しずし&そば・うどん〕

目にも雅で味もまろやか冬の京ずし──いづ重(祇園)

いづ重 蒸し寿し

舌の肥えた祗園の粋客をはじめ、地元の食通が贔屓にする京ずしのお店。具材の多くは100数年前と変わらぬ手作りに徹し、冬になると登場するのがほかほかの「蒸し寿司」。一昼夜ねかせて味をなじませたすしめしに、焼き穴子、焼き鱧、煮いか、甘く炊いたしいたけを混ぜ込み、1人分ずつ蒸して輪島塗の器で供されます。ご飯はしっとりとして、具はふんわり。最後の一粒まで温かい状態でいただけます。

いづ重
京都市東山区祇園石段下 
電話 075(561)0019
営業時間 10時30分~18時30分(LO) 
水曜・木曜定休 予約可
「蒸し寿司」2420円/12月〜3月末に提供


体の芯から温まる極上のあんかけうどん──おかきた(岡崎)


「京のうどんはだしで食す」というくらい、だしを重んじる京都人。なかでもふうふうと息をかけながら味わうあんかけは冬ならではの醍醐味です。ここ「おかきた」では天然利尻昆布とかつお節でとっただしのうまみをきかせたあんにこだわり、程よく柔らかなうどんとの一体感が絶妙。とろとろのあんで煮た鯛かまぼこ、生ゆば、庄内麩、しいたけがのる「のっぺいうどん」は具にも京都を感じる一品です。

おかきた
京都市左京区岡崎南御所町34
電話 075(771)4831 
営業時間 11時〜17時(LO)
火曜・水曜定休 予約不可 
「のっぺいうどん」1350円/通年提供


湯気立ち上る蒸籠は新京極の風物詩──乙羽(新京極)

人で賑わう新京極通にある明治35年創業のすし店。毎年冬になると店先に蒸籠が置かれ、立ち上る白い湯気と甘酸っぱい香りが厳しい寒さをしばし和らげてくれます。錦手の蓋付きのお丼で供される「蒸しずし」は、すしめしに甘辛く炊いたしいたけとたけのこ、店で活け締めにする穴子の白焼きを入れ、上から錦糸卵をふんわりのせて蒸し上げたもの。ほかほかのご飯をいただくうちに、誰もが幸せな気分に包まれます。

乙羽
京都市中京区新京極四条上ル中之町565
電話 075(221)2412
営業時間 11時〜19時45分(LO) 
月曜定休 予約可
「蒸しずし」1650円/10月中旬〜4月に提供


賀茂ねぎと辛味大根たっぷりの冬限定そば──そば処 松庵(西賀茂)


西賀茂の住宅地の一角にひっそりと建つ、季節限定のそばに定評があるそば処。この時季に地元の人たちが心待ちにしているのは、近所の農家で採れた新鮮なねぎと辛味大根たっぷりの「賀茂ねぎそば」。とろとろのワタが詰まったねぎの甘みとヒリヒリとした大根の辛味が渾然一体となっておいしさが倍増し、おつゆは飲み干せるほどあっさりとした味つけです。最後まであつあつがいただける「ねぎあんかけ」もおすすめ。

そば処 松庵
京都市北区西賀茂坊ノ後町16–3
電話 075(492)8028 
11時〜14時50分(LO)、17時〜19時50分(LO)
水曜定休 予約不可 
「賀茂ねぎそば」990円/11月中旬〜3月頃に提供


〔あつあつ甘味〕

一度は食べたい、白味噌雑煮の王道──中村軒(桂離宮)

京都のお正月に欠かせない丸餅と小芋入りの白味噌雑煮。お好みでかつお節をかけて。お昼前から販売される、作りたてのみたらし団子。醬油だれは持ち帰りが可能。

京都のお正月に欠かせない丸餅と小芋入りの白味噌雑煮。お好みでかつお節をかけて。お昼前から販売される、作りたてのみたらし団子。醬油だれは持ち帰りが可能。

桂離宮の南側の山陰街道沿いで菓子司を商うこと140年。茶店では四季折々の甘味を揃え、冬は京都ならではの白味噌雑煮を楽しめます。自慢のお餅は古代に琵琶湖の底だったといわれる粘土質の土壌の滋賀県小佐治で生産されたもち米を用い、丸餅はこしと粘りがあってとても柔らか。まろやかな甘みの「山利」の白味噌とのバランスが絶妙なお雑煮は、程よくおなかが満たされ、寒い日の“むしやしない”にぴったりです。

同じく冬季限定のみたらし団子はあっさりとした甘みの醬油だれとこくのある白味噌だれから選べ、熟練の職人が備長炭で手焼きしながら昔懐かしいひなびた味を今にとどめています。売り切れ次第終了となるので早めに来店することをおすすめします。お昼前から販売される、作りたてのみたらし団子。醬油だれは持ち帰りが可能。

お昼前から販売される、作りたてのみたらし団子。醬油だれは持ち帰りが可能。

中村軒
京都市西京区桂浅原町61
電話 075(381)2650
営業時間 茶店10時〜17時(LO) 販売8時30分〜17時30分
「白味噌雑煮」1040円(持ち帰り870円)11月〜2月末日に提供/「みたらし団子」1本290円(持ち帰り280円)/12月〜2月末日に提供

多彩なぜんざいは、冬ならではのお楽しみ──大極殿本舗 六角店 栖園(六角高倉)

お餅の食べ比べが楽しい「お多福ぜんざい」(手前)とおはぎのような味わいの「福かぶり」(奥)。

お餅の食べ比べが楽しい「お多福ぜんざい」(手前)とおはぎのような味わいの「福かぶり」(奥)。

京町家の風情漂う空間の中、名物の「琥珀流し」をはじめ、“おいしさ、美しさ、楽しさ”にこだわった多彩な甘味が揃う人気の甘味処。ぜんざいは通年のものを入れると6種類あり、あんやお餅、見た目が異なるオリジナルの味が次々に登場します。

白餅、くるみ餅、よもぎ餅に柔らかく炊き上げた極上の粒あんがかかる「お多福ぜんざい」はお餅好きのかた、栗入りのもち米にとろとろのあんをからめながらいただく「福かぶり」はこしあん好きのかたにおすすめの一品。

ほかに、秋限定の「栗ぜんざい」や丹波大納言と備中白小豆をダブルで楽しめる「相生ぜんざい」など、毎月訪れるファンがいるのも納得のラインナップ。ここでしか味わえないぜんざいの新味に出合え、冬限定の口福眼福に浸れます。街中とは思えない静かな店内。

街中とは思えない静かな店内。

大極殿本舗 六角店 栖園
京都市中京区高倉東入ル南側堀之上町120 
電話 075(221)3311
営業時間 喫茶10時〜17時(LO) 販売9時〜18時 
水曜定休 予約不可 
「お多福ぜんざい」1400円/10月〜5月末日に提供 「福かぶり」1300円/12月〜3月末日に提供


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撮影/大泉省吾 鈴木一彦(乙羽、おかきた) 福森クニヒロ(いづ重) 伊藤 信(そば処 松庵) 取材・文/西村晶子 『家庭画報』2024年1月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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