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今こそ知りたい、古豪時計メゾン・ブランパンの名作「レディバード」の誕生物語

2023.11.30

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【ブランパン】機械式しか作らない現存する世界最古の時計メゾン
色鮮やかな翼で世界に羽ばたく

人生を彩る時計メゾン 「ブランパン」 280年以上の歴史を誇るスイス・ヴィルレの古豪時計メゾン「ブランパン」。レディス時計「レディバード」の誕生には、一人の才気溢れる女性が寄与していました。前回の記事を読む>> 連載一覧はこちら>>

類いまれな女性リーダーの先見の明で誕生した名作

創業1735年。現存する世界最古の時計メゾン「ブランパン」は「機械式」しか作らないことでも有名です。エネルギー源が電池のクォーツ時計ではなく、ゼンマイで半永久的に動く機械式時計にこだわる老舗中の老舗。その代表的なレディス時計が「レディバード」です。

ダイヤル上のローマ数字と色を合わせたストラップで、すっきりとまとまったスタイリングに。秒針と時分針をそれぞれ取り囲む2つのダイヤモンドサークル、そしてベゼルにセッティングされたダイヤモンドが、なんともエレガントな輝きを放っています。右「レディバード カラーズ」(18Kホワイトゴールド×ダイヤモンド×マザーオブパール、アリゲーターストラップ、ケース径34.9ミリ、自動巻き)442万2000円 左「レディバード カラーズ ムーンフェイズ」(18Kレッドゴールド×ダイヤモンド×マザーオブパール、アリゲーターストラップ、ケース径34.9ミリ、自動巻き)447万7000円/ともにブランパン(ブランパン ブティック銀座)

レディバードとは「てんとう虫」のこと。この名前の由来を知るには初代レディバードまで遡る必要があります。1956年、ブランパンは世界最小の丸型ムーブメントを搭載したレディス時計を発表します。「てんとう虫」は、その小ささを象徴するネーミングだったのです。


初代レディバードの開発に大きく貢献したのが、当時スイス時計業界初の女性社長となったベティ・フィスター。彼女は16歳でブランパンに入社すると、ブランパン家7代目フレデリック=エミール・ブランパンの右腕として懸命に働き、ついには社長に任命されます。

女性が活躍する時代の到来を確信していたフィスターはレディスコレクションを強化。そして誕生させたのが「レディバード」だったのです。当時、小さな時計を作れることは、高い時計技術の証。本物志向の技術をレディス時計にいち早く取り入れ、女性の社会進出の後押しをしました。

最新の「レディバード」は、時代に合わせて程よい大きさに進化していますが、初代のスピリットは確実に受け継がれています。翼の形にかたどられた自動巻きローター、マザーオブパールの美しいダイヤル、丁寧に面取りされたケースとダイヤモンド。いつの時代にあっても、世界に羽ばたくには「本物」の翼が必要なのです。

4日間以上動き続けるムーブメント

時計の裏蓋には透明なサファイアクリスタルがセットされており、ムーブメントの動く姿を見ることができます。どちらのモデルにもパワーリザーブ約100時間(ゼンマイが完全に巻き上がれば4日間以上動き続ける)を誇るブランパン独自開発の自動巻きキャリバーが備わっています。

高級時計メゾン初の女性社長

フレデリック=エミール・ブランパン亡き後、ベティ・フィスター(上写真)は同僚だったアンドレ・レアルとともに会社の経営権を取得。1939年にアンドレ・レアルが亡くなると、彼女は一人で会社を指揮することになります。フィスターの豊かな才能と際立つ知性は、ブランパンの大きな財産となりました。

世界最小サイズを謳った初代の広告

1956年、初代レディバードが発表された当時の広告ビジュアル。その見出しタイトルには「THE SMALLEST ROUND WATCH IN THE WORLD=世界最小の丸型腕時計」と謳われています。レディバードに搭載されたムーブメント、キャリバーR550の直径はわずか11.85ミリしかありませんでした。

この記事の掲載号

『家庭画報』2023年12月号

家庭画報 2023年12月号

撮影/Fumito Shibasaki 〈Donna〉 構成・文/市塚忠義

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