工藤美代子さん綴る【快楽（けらく）】第18回「年を取ったら丸くなるのか（後編）」

潤う成熟世代　快楽（けらく）─最終章─　作家・工藤美代子さんの人気シリーズ「快楽」の最終章。年齢を理由に恋愛を諦める時代は終わりつつある今、自由を求めて歩み始めた女性たちを独自の視点を通して取材。その新たな生き方を連載を通じて探ります。前回の記事＞＞　連載記事一覧＞＞

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第18回　年を取ったら丸くなるのか（後編）

文／工藤美代子

そこで二人のしたいこととは何かを尋ねてみた。

すると、今は、もっぱら旅行の相談をしているという答えが返ってきた。これまでも何回か小旅行には出掛けている。しかし、来年は思い切って世界一周のクルーズに行かないかと淑子さんが言い出した。およそ４か月ほどかけて、あちこちの港に寄りながらの船旅だ。


さらに彼女が提案したのは、長期間ずっと二人が同じ部屋で過ごすのは窮屈だろう。いくら広い部屋といっても船だから、一軒家のようなわけにはいかない。だから、それぞれ一人ずつ自分の部屋に滞在して、食事とか映画とか何かエンターテイメントを楽しむ時間は一緒に過ごす。でも、夜になって眠る時は自室に戻るというスタイルにしたいというのが彼女の希望らしい。