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歌舞伎、新たなる挑戦。若手ホープの中村壱太郎、市川團子が見出す希望〔対談〕

2023.11.10

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次世代の歌舞伎を担う俳優として注目されている中村壱太郎さんと市川團子さん。2023年5月に初共演を果たし、続く公演でも舞台の真ん中に立つ存在として強い印象を残しました。

歌舞伎への愛や偉大な祖父への尊敬の念など、共通点が多い二人。兄弟のように慕い合う二人が、歌舞伎への情熱や未来へとつなぐ覚悟について語ります。

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中村壱太郎

1990年、東京都生まれ。父は4代目中村鴈治郎、祖父は4世坂田藤十郎。1995年1月大阪・中座『嫗山姥』の一子公時で初代中村壱太郎を名乗り、初舞台。2010年に19歳で『曽根崎心中』のお初に挑む。近年でも『祇園祭礼信仰記』の雪姫や『廓文章』の夕霧などの大役を勤める。2020年7月に歌舞伎とアートを融合した「ART歌舞伎」を配信し、話題となった。

市川團子
2004年、東京都生まれ。父は9代目市川中車、祖父は2代目市川猿翁。2012年6月、新橋演舞場で『スーパー歌舞伎 ヤマトタケル』のワカタケル役で5代目市川團子を名乗り、初舞台。2013年10月、国立劇場『春興鏡獅子』の胡蝶の精で国立劇場賞特別賞を受賞。現在は大学2年生で、学業と芸道の二刀流で精進している。

“歌舞伎の未来”のために
僕たちができること、するべきこと

出会ってから12年。待望の共演で互いが実感していること

中村壱太郎(以下壱太郎) 僕たちが初めて会ったのは、僕が21歳のときだったね。

市川團子(以下團子) はい。僕はまだ7歳で、壱太郎さんが21歳だと聞いて“21歳さん”と呼ばせていただいていました(笑)。

壱太郎 懐かしい(笑)。僕が2012年の新春浅草歌舞伎に初めて出演させていただいたときだったな。その公演をお父さまの(市川)中車さんと一緒に観に来ていて、そのとき初めてご挨拶させてもらいました。キャッキャして面白い子だなと思っていたよ。

團子 その頃から好奇心旺盛でした。

壱太郎 その後(市川)團子を襲名して、2013年の12月に南座で澤瀉屋さんの襲名披露公演が行われたとき、楽屋で一緒にボードゲームをして遊んだんだよね。

團子 とても楽しかったのを覚えています。

壱太郎 二人で盛り上がっていたら、祖父(坂田藤十郎)の楽屋が隣だったので、祖父のお弟子さんから「ちょっと静かにしていただけますか?」って、注意されたんだよ。

團子 それは全然覚えていないです(笑)。

壱太郎 團子くんの僕の印象としては“歌舞伎好き”のオーラが出まくっていて歌舞伎に対するテンションも僕に類似してると思う。

團子 台本の書き込み方も似ていると思いました。しかし僕の書き込みはあとになって読むと全く読めないです(笑)。

壱太郎 僕もそう、わかる! 僕たち、14歳も離れているけれど、共鳴し合えるところがあるから、世代の違いとか感じないよね。

團子 僕も同じです。もちろん先輩として尊敬していますが、自分が思っていることを話せるかたです。壱太郎さんは最初にお会いしたときからイメージは変わりません。

壱太郎 そういうつながりがあったんだけど、初共演は2023年5月の明治座なんだよね。

團子 そうですね。今までは同じ劇場でも部が違っていました。そして立て続けに6月の『傾城反魂香』、8月の『新・水滸伝』でもご一緒しました。そのときに、これからの目標みたいなものを教えてくださいました。

『傾城反魂香』の土佐修理之助。2023年6月、歌舞伎座。

『傾城反魂香』の土佐修理之助。2023年6月、歌舞伎座。

『義経千本桜 すし屋』のお里。2023年6月、歌舞伎座。

『義経千本桜 すし屋』のお里。2023年6月、歌舞伎座。

壱太郎 僕自身も経験したことだけど、いろんなかたからアドバイスを受けると、どうしたらいいのかわからなくなることがあるよね。

團子 そうですね。考えすぎてしまうことがあります。

壱太郎 例えば化粧一つとっても、眉毛は下がったほうがいいという人もいれば、上げたほうがいいという人もいる。そうなると訳がわからなくなる! だから迷ったときは自分の中でいい意味で整理して残せば大丈夫って。『新・水滸伝』でも歌舞伎座から京都の南座の公演までで50ステージあるからロングスパンで目標を決めたらっていったんだよ。

團子 はい、具体的なアドバイスというよりは視野を大きく広げてくださいました。

壱太郎 5月からそばで見てきたけれど、日に日によくなっている。今日はこうしようというのが、すごく明確だから。

團子 嬉しいです。

壱太郎 『傾城反魂香』の修理之助のときの筆の持ち替えもそうでしょ?

團子 縦に持つと見え方が汚いけど、横にして体に沿って持つとそうならなくていいと思って横にして持ちました。自分でないと気づかないようなことを壱太郎さんからは「筆の持ち方を変えたね」といっていただいて。

壱太郎 自分なりの工夫をするのは楽しいよね。歌舞伎って本番が25日ほどあるから、まっすぐに取り組んでいれば稽古でできなかったことも少しずつ改善できるように思うんだ。

撮影/石田 航、本誌・坂本正行、岡積千可 協力/松竹 構成・文/山下シオン ヘア&メイク/AKANE、林摩規子

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