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ヨーロッパからアメリカへ。セレブリティや銀幕スターを彩ったコスチュームジュエリー

2023.11.09

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〔特集〕グランメゾン 美の競演 コスチュームジュエリー 小瀧コレクションより 1910年代にフランスでオートクチュール用のジュエリーとして誕生したコスチュームジュエリーは“素材からの解放”が生んだアクセサリー。貴金属や宝石ではなく、ガラスやメタルなど身近な素材で制作されているのが特徴です。シャネル、スキャパレッリ、ディオールら「美の変革者」が、自由な発想と独創的なデザインを競って生み出した作品は、今なお気品のある輝きを時を超えて放っています。世界屈指のコレクションからほんの一部をご紹介します。前回の記事はこちら>>

・特集「グランメゾン 美の競演 コスチュームジュエリー」の記事一覧はこちら>>

新世界のマスプロダクション──アメリカのコスチュームジュエリー

ヨーロッパでは当初、本物のジュエリーの代替品と見なされていたコスチュームジュエリー。しかし、新世界アメリカでは王侯貴族による宝飾品の文化がそもそも存在しないため、砂地に水が染みこむようにコスチュームジュエリーは受け入れられていきました。

シャネルとスキャパレッリは、制作したコスチュームジュエリーの多くをアメリカでセールスしています。戦争で疲弊したヨーロッパとは異なり、アメリカの人々にはアクセサリーを購買する余裕があったのです。


やがて、アメリカでもコスチュームジュエリーの制作が始まります。1935年から1950年の間に、ヨーロッパ的な宝飾品の模倣から解放された、アメリカらしさをまとった製品が生み出されていきました。その代表格がミリアム・ハスケル、そしてトリファリです。アメリカの女性たちは、就任式に臨む大統領夫人などのセレブリティやハリウッド映画でグレタ・ガルボなど銀幕のスターを美しく彩るコスチュームジュエリーに憧れ、魅了されたのです。

Miriam Haskell(ミリアム・ハスケル)

ネックレス、ブローチ“すみれ”モチーフ(エナメル彩、樹脂ほか)。

ネックレス、ブローチ“すみれ”モチーフ(エナメル彩、樹脂ほか)。

アメリカのコスチュームジュエリー界を牽引したミリアム・ハスケル(1899-1981)。1924年にニューヨークでそのキャリアをスタートさせた彼女は、独自のスタイルを確立していく。ハスケルのジュエリーは、安価でデザイン性に優れたファッションアイテムとして第一次世界大戦後に社会進出を果たした女性たちに支持された。

Trifari(トリファリ)

ペアクリップ“テノールフィッシュとマーメイド”(エナメル彩メタルほか)

ペアクリップ“テノールフィッシュとマーメイド”(エナメル彩メタルほか)

イタリアのナポリで創業後、1925年にアメリカでトリファリ社として創設。1930年にはカルティエなどでデザイナーを務めたアルフレッド・フィリップがチーフデザイナーとして加わり、トリファリのスタイルが確立されていった。

クリップ“ビッグプードル”(ルーサイトほか)

クリップ“ビッグプードル”(ルーサイトほか)

イヤリング、ブローチ、クリップ、ブレスレットのセット“ポピー”(エナメル彩メタルほか)。

イヤリング、ブローチ、クリップ、ブレスレットのセット“ポピー”(エナメル彩メタルほか)。


『コスチュームジュエリー』好評発売中

ISBN978-4-418-23215-4 定価:本体2,700円+税 世界文化社刊

ISBN978-4-418-23215-4 定価:本体2,700円+税 世界文化社刊

世界有数の小瀧コレクションを中心に、400点以上の優品を548点の写真で魅力的に紹介した入門書にして決定版。シャネル、スキャパレッリ、ディオールなど美の変革者たちが生み出したコスチュームジュエリーの精華をはじめ、メゾン・グリポワなど卓越した工房が手がけたヨーロッパのコスチュームジュエリー、ミリアム・ハスケルやトリファリほかアメリカの名品までをも収載したかつてない一冊。用語解説付き。

コスチュームジュエリー展

パナソニック汐留美術館(〜2023年12月17日)を皮切りに全国5会場で、紹介書籍と連動した展覧会が順次開催されます。シャネル、スキャパレッリ、ディオールなど小瀧コレクションの名品を中心に、400点以上のコスチュームジュエリーを間近に見ることができるまたとない機会です。全国の巡回会場の詳細は以下をご参照ください。URL:https://curators.jp/exhibitionlist/095/

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この記事の掲載号

『家庭画報』2023年11月号

家庭画報 2023年11月号

撮影/鈴木一彦 取材協力/chisa

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