「家庭画報」の手土産2023 「美味しい！」という満面の笑みが見たくて、 編集部の「美味アンテナ」は毎日フル稼働。 全国ゆかりの美味しいもの好きの皆さまに 教えていただいた故郷の“とっておき”もあわせて、 幸せを運ぶ122の美味土産を一挙にご紹介します。
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日本の手土産 “永遠の金メダル”
「羊羹」博覧会
和菓子として当たり前の存在である羊羹はなぜ、こんなにも愛されているのか。今さら聞けない歴史や秘密に迫ります。読んで食べればあなたも「羊羹ツウ」に。
鎌倉〜室町時代に伝来、今日まで続く
美味しい“羊羹”ヒストリー
中国の“羊肉スープ”が日本に伝えられてから、いかにして現在の羊羹へ進化したのか。各時代の姿を残す羊羹は、今も「とらや」に残ります。
【鎌倉～室町時代に来日】
羊羹のルーツは中国の“羊肉スープ”だった！
羊羹は、中国の料理「羊の羹（あつもの）＝スープ」が原形。この料理を中国に留学した禅僧が点心（軽食）の一つとして日本に伝えた。禅僧は肉食を禁じられていたので、あずきなどの植物性の材料を使って羊肉に見立てた精進料理の汁物になったと考えられる。
【1500年代半ば～後半】
料理からお菓子へ…“形を作る”蒸羊羹が誕生
料理としての羊羹はやがて、あずき、小麦粉、葛粉、砂糖などを混ぜ、蒸したものをついたりこねたりして形を作る菓子へと進化。現在、この生地は一般的には「こなし」、とらやでは「羊羹製」と呼ばれる。菓子の羊羹の最も古い形を起源とすることを伝える名称だ。
「羊羹製 寒紅梅」573円。見た目は練り切りと似ているが、食感に重厚感がある。2024年2月1日〜15日販売。
【1500年代末頃】
“型に流して蒸すだけ”より簡単な製法に
生地を蒸して形を作るタイプから、製法をより簡素化・合理化して、枠に流して蒸すだけのタイプが登場。これを直方体などに切って食べていたと記録にある。江戸時代初期にはこの2種類の蒸羊羹があった。後者の枠に流して蒸すものが、今の羊羹につながっていく。
菓子を食べて厄除招福を願う江戸時代の行事にちなんだ「嘉祥蒸羊羹（中形）」2160円。6月に期間限定発売。
【1700年代半ば（１）】
柔らかめの蒸羊羹が水羊羹の始まり
当時の羊羹（蒸羊羹）を柔らかく仕上げたものが水羊羹と呼ばれ、1760年頃から史料によく見られるようになる。国学者・橋本経亮（つねあきら）の随筆（1801年）には、霊元天皇に「蒸羊羹が硬い」といわれ、亀屋陸通という菓子屋が柔らかく作った、という記述もある。
「紅抓（べにつまみ）羊羹」540円。餡、砂糖、葛を煉り、蒸し上げた生地。夏季に販売（来季は未定）。
【1700年代半ば（２）】
羊羹作りを変えた！ 寒天の存在
江戸時代に寒天が誕生。蒸さずにあずきと砂糖に寒天を加えて固めた水羊羹が生まれた。これが煉羊羹につながっていく。当時の姫路藩主の酒井忠以（ただざね）の茶会記では水羊羹が2年間で10回も登場。いずれも夏以外に使われているので、特に夏の菓子ではなかったよう。
冷やして食べるカップ入りの水羊羹は1960年代に広まった。「水羊羹」324円は4〜8月販売。
【1700年代後半】
煉羊羹がついに登場。瞬く間に全国へ
火にかけて煉って水分を飛ばす製法により、それまでの日本のお菓子にない独特の弾力となめらかな口当たりが生まれた。全国に広まるのも早く、幕末の番付「諸国名物一覧」（1849年）の流行ものの項に煉羊羹の名前が見られるなど、各地で人気を博したよう。
江戸時代に生まれた「夜の梅」に続き、大正時代には黒砂糖の風味の「おもかげ」が登場。「印籠杉箱入 竹皮包羊羹」2本入7344円。
1930年に誕生した小形羊羹は「切って食べる」という概念を打ち破った画期的な品。季節ごとのパッケージのほか、春季限定の「いちご」や京都限定の「白味噌」なども。292円〜。
とらやの職人に教わる
羊羹Q&A
Q.羊羹の切り方、盛り方、保存法を教えてください。A.よく切れる包丁をぬれふきんでその都度拭きながら切ります。包丁を羊羹にまっすぐ当てて、ゆっくり真下に押し切るのがコツです。盛り方は、切り口を上でも、横に向けても、お好みでどうぞ。封を開けたら、切り口をラップで包み、常温で保存してください。
Q.“おいしい厚さ”はどのくらいですか。A.とらやの喫茶でお出ししているのは2.4センチ厚さのもの。かみ応えがあり、満足感を感じます。少し重く感じるなら、1.8センチ厚さも食べやすくて人気です。きっかり2ミリという薄切り派も。厚さによって、感じる食感が異なるので、自分好みの厚さを見つけてはいかがでしょう。
Q.おすすめの羊羹アレンジメニュー&ドリンクペアリングは？A.厚さ2.4センチに切った羊羹にマスカルポーネチーズを添えて。クリームチーズを塗った薄切りパンで2ミリ厚さに切った羊羹をはさむのは「とらやニューヨーク店」で考案されたメニューです。シャンパンに白餡の羊羹、ウィスキーや赤ワインと小倉羊羹、ラム酒には黒糖風味の羊羹もおすすめ。
Q.贈り物に使われ始めたのはいつ頃からですか。A.1490年、饅頭やそうめんなどとともに、羊羹が宮中へ進上された記録が「御湯殿上日記」に残っています。これは、公家や武家、僧侶らが宮中に進上した品物などを記載したもの。江戸時代以降、羊羹が広く作られるようになると、贈答の利用がより増えていきました。
とらや 赤坂店東京都港区赤坂4-9-22
TEL 03（3408）2331
@toraya.confectionery（営）9時〜18時 （土曜・日曜・祝日9時30分〜） 毎月6日定休（12月を除く）
〈開催中〉虎屋文庫50周年記念！「和菓子の〈はじめて〉物語」展虎屋 赤坂ギャラリー （とらや 赤坂店 地下1階）にて開催中。
2023年〜11月23日（木・祝）まで。
10時〜17時。11月6日（月）は休館。
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