食事を「おいしい」と感じることで、褐色脂肪細胞が活性化＝痩せる！

健康的に美しくやせる！ 12の新・生活習慣 第11回

〔ダイエットのお悩み〕やせたいから低カロリー食に切り替えたけれどおいしくない

褐色脂肪細胞を活性化させ、エネルギーをより消費するには食事を「おいしい」と感じることが大切です

大湯リハビリ温泉病院 常務理事 小笠原達記念温泉医学研究所 所長・温泉保養館館長 池田充宏（いけだ・みつひろ）先生 筑波大学大学院にて疾病の運動処方の研究を開始、博士号を取得。45万人以上の健康管理に携わり、そのビッグデータの解析から誰もが無理なく取り組める健康管理法を導き出し、多くの企業や自治体を指導してきた。また、国内外のトップアスリートの能力評価、減量、トレーニング、リハビリにもかかわる。

ダイエット継続の秘訣は好きな食べ物を我慢しない

「さあ、やせるぞ」と意気込んでダイエットを始めるとき、たいていの人は食べすぎないように食事制限に努めます。さらに本気で取り組む場合は体重を落としたい一心から低カロリー食に切り替える人も少なくありません。また、最近の傾向として「減量の際、足りない栄養素をプロテインやサプリメントで補給することが主流になりつつあります」と池田充宏先生は指摘します。

食事制限によって栄養が偏らないようプロテインやサプリメントを活用することは決して悪いことではないものの、栄養補助食品を食事の代わりに食べても“おいしい"と感じることはほとんどないでしょう。

減量に熱心になるあまり、食事が栄養を補給するだけの“餌”と化していませんか。そのような食生活は褐色脂肪細胞を活性化させません。

「実はこれがダイエットの落とし穴で、どんなにエネルギーを抑えても単に栄養を補給するだけの食事ではエネルギーを消費する褐色脂肪細胞を活性化させることはできないのです。過去の研究から食事を“おいしい”と感じることが褐色脂肪細胞を活性化させ、エネルギーをより消費することがわかっています（下図参照）」と池田先生は説明します。

●おいしいと感じるだけでやせる！

食事のおいしさと食事誘発性熱産生（DIT）の関係

8名の女性を2群に分け、1群にはおいしい食事を、もう1群にはその食事を混ぜ合わせて作ったビスケットを食べてもらうと、おいしい食事を食べた群は褐色脂肪細胞の活性化が関与するDITが20%増加したのに対し、ビスケットを食べた群は12%しか増えなかった。

LeBlanc, J. & Brondel, L（. 1985）Role of palatability on mealinduced thermogenesis in human subjects.Am. J. Physiol., 248, E333–E336.を参考に作成

そのため、池田先生はダイエットを指導する際、好きな食べ物を我慢させることはしないそうです。そして、ダイエットや健康を目的とする食事の場合もエネルギーや栄養を補給するだけの“餌”にならないよう注意を促します。「食事をするときは作ってくれた人に感謝し、会話を楽しみながらゆっくりと味わい、心から“おいしい”と感じることが大切です。それが楽しくダイエットを継続させる秘訣です」と池田先生はアドバイスします。

ちなみに食事をおいしく食べる以外にも褐色脂肪細胞を活性化させる方法はいくつかわかっています。唐辛子の辛味成分であるカプサイシンをはじめ、しょうが、こしょう、わさびなどの成分にはその効果が認められています。また、5月号で紹介した肩甲骨を寄せたり広げたりする運動も肩まわりに特に多い褐色脂肪細胞を刺激するのでおすすめです。

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