がんまるごと大百科 第11回【緩和ケア編】(02)「緩和ケア」という言葉を知る人は増えてきたものの、「終末期に受けるケア」というイメージを抱く人が多いようです。しかし、国では診断時からの緩和ケアの提供を目指し、診療体制を整備しています。緩和ケアについて理解を深め、積極的に活用しましょう。
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トータルペインにチームで包括的に対応し、治療に専念できる環境を整備
里見絵理子(さとみ・えりこ)先生国立がん研究センター 中央病院 緩和医療科 科長。消化器内科医として研鑽を積んだ後、2004年より大阪医療センター緩和ケアチーム専従医師として診療に従事。以後、がん緩和ケアを専門とする。14年より現職。がん相談支援センターセンター長を兼任。
経過観察中の苦痛症状も緩和ケア外来での支援が可能
現在、がん薬物療法をはじめ、多くのがんの治療は外来を中心に行われ、かつ長期化し、緩和ケアを継続的に提供することが求められています。こうしたニーズに応えるため、「緩和ケア外来」を開設する医療機関も増えています。
「当院の場合、緩和ケア外来を利用する患者さんの2割程度は経過観察中の人です。体内に肉眼で確認できるがんはないものの、手術の傷痕の痛みが続いたりリンパ浮腫などの後遺症に悩まされたりするケースに対応することがあります。また、再発の不安など心の悩みもサポートします」。
緩和ケアチームや緩和ケア外来の設置は、がん診療連携拠点病院の指定要件のため、緩和ケアが受けられる施設を探す際には拠点病院に指定されている医療機関が目安になります。ただし、これまでは緩和ケアチームのサポートは、その医療機関で治療する患者や家族に限定されていました。「22年8月に院外の患者さんを緩和ケア外来で受け入れる体制の整備が拠点病院の指定要件として新しく追加されたので、これからは地域で療養する患者さんたちも利用しやすくなるでしょう」と里見先生は期待します。
【外来・病棟・自宅でも緩和ケアを受けられる!】
日本緩和医療学会「もっと知ってください 緩和ケア.net /緩和ケアはどこで受けられる?」などを参考に作成