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奈良出身、奈良市観光特別大使の俳優・加藤雅也さんが訪ねる「東大寺」

2023.09.29

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【初代別当良弁僧正ゆかりの「法華堂」は東大寺最古の天平建築】法華堂の北側にある「正堂」は、御仏をお祀りする仏堂。二重(須弥)壇の上の本尊・不空羂索観音菩薩立像を守護するように、堂内には四天王立像や梵天・帝釈天など、高さ3メートルを超す10体の仏像(すべて国宝)が安置されている。

〔特集〕今秋、感動の体験旅へ 京都・奈良 日本が世界に誇る2大古都、京都と奈良。世界文化遺産にも登録されている、この2つの都市の文化的価値と魅力を、料亭、庭園、建築などに焦点を当てて紐解いていきます。さらに美味処、話題のスポットの情報もお届けします。前回の記事はこちら>>


〔東大寺法華堂〕天平建築堂宇で、平城京時代の諸仏と対面

今回、南都に現存する古代建築の魅力に触れていただくのは、奈良で生まれ育ち、現在は奈良市観光特別大使を務める俳優の加藤雅也さん。「奈良は日常のすぐそばに古来の歴史と文化がある特異な町。自分の知らない奈良に触れるのが楽しみです」。そう話す加藤さんが最初に訪れたのは、若草山の麓にある東大寺。“奈良の大仏さん”こと盧舎那仏で知られる巨大伽藍です。

なかでも『東大寺要録』によると、良弁僧正の発願により建てられたとされる「法華堂(三月堂)」は、東大寺で最も古い奈良時代の国宝建築。今から1300年近く前の建造物と安置される御仏を通して、天平の空気を感じることができます。

加藤雅也さんと感じる、奇跡の南都寺院建築

加藤雅也さん(かとう・まさや)

1963年奈良県生まれ。俳優として、幅広い役柄を通して唯一無二の存在感を放つ。2019年より奈良市観光特別大使を務め、2023年には天理市の教育・芸術スーパーバイザーに就任。奈良の魅力と奈良愛を発信し続けている。

[東大寺開山良弁僧正1250年御遠忌]規格外の巨大伽藍で、平城京のスケールを体感する

【奈良盆地を望む「二月堂舞台」】斜面を利用した懸造(かけづくり)の舞台からは生駒山までが一望できる。「奥深い歴史に触れると、自分の中の知識や好奇心が頭をもたげ、それが新しい発想につながります。だから、奈良は学びの場所として面白いんです」と加藤さん。

南大門をくぐると、真正面に大仏殿、「上院」と呼ばれる右手の奥まった丘陵地には法華堂や二月堂が建ち並びます。「現在の上院地区には、東大寺の前身寺院である金鐘寺(きんしょうじ)がありました。金鐘寺は中国伝来の『華厳経』を日本で学ぶ、初の拠点となった場所で、後に東大寺初代別当となる良弁僧正が、奈良時代に創建したとされています」と話すのは、現別当 橋村公英さん。

『東大寺要録』によれば、法華堂は金鐘寺の遺構。奈良時代に建てられた寄棟造の「正堂(しょうどう)」は、鎌倉時代に建造された入母屋造の「礼堂(らいどう)」とつながり、現在の形に。本来別々であった、諸仏を安置する空間(仏堂)と人が立ち入る空間(礼堂)が一つになり、本堂へと移行する原形とも目されます。


橋村さんいわく「堂内に安置された御仏は、乾漆像(木や粘土で形作った上に麻布を張り、漆で塗り固める技法)。ユーラシア大陸の古代彫像のような雰囲気を残しているのも、華厳宗伝来の地である法華堂ならではです」。その言葉に加藤さんは「1300年ほど前のものが現代まで残っていることが、すごいことです」と興味深げ。

さらに歩を進め、法華堂北側にある二月堂へ。「お水取り」こと修二会の舞台として知られる二月堂は、懸造(かけづくり)と呼ばれる斜面に突き出した独特の建築様式で、欄干からは古都奈良が一望できます。「堂が真西に向かって建っているため、お彼岸の時期には、真正面に夕日が沈み、まるで極楽浄土とつながっているような美しさです」と橋村さん。

最後に訪ねた大仏殿は「天平・鎌倉時代には桁行11 間(約88メートル)でしたが、江戸時代に3分の2ほどに規模が縮小されました。それでも高さや奥行は創建時のままで、今もって世界最大級の巨大木造建造物です」。

大仏さまは信楽の地(紫香楽宮)で造り始められ、やがて平城京に都が遷都すると、この地で造立が再開されたのだそう。加藤さんいわく「説明を聞くことで歴史を紐解き、さらに学びたくなりますね」。

【破格の規模を実現した現「大仏殿」の集成材柱】高さ48メートルの巨大な建物を支える、最大直径1.56メートルもの太い柱が林立する大仏殿内部。実はこの柱は1本の木ではなく、芯になる柱の外側に小さな木を張り合わせた集成材。「樹齢数百年規模の大木の確保が困難だったことから生まれた匠の技も、再建時の偉大な技術の一つです」と橋村さん。

【異なる時代の異なる建築様式が融合する天平堂宇「法華堂」】左側は奈良時代の「正堂」、右側は鎌倉時代に増築された「礼堂」。屋根の形も異なり、正堂は寄棟造、礼堂は南面に破風を見せた入母屋造となっている。

【訪れる人は少ないが「転害門」は必見】緩やかにのびる大棟の曲線、切妻屋根を支える八脚の円柱などが特徴的な転害門(てがいもん)は、二度の大火から奇跡的に焼け残った古代建造物の一つ。

築地塀と石畳に風情ある「二月堂裏参道」 大仏殿の裏側から二月堂に向けてのびる細道、通称二月堂裏参道で、清水公仁住職(東大寺塔頭 宝厳院)と。ここから見る二月堂も、また風情がある。

【築地塀と石畳に風情ある「二月堂裏参道」】大仏殿の裏側から二月堂に向けてのびる細道、通称二月堂裏参道で、清水公仁住職(東大寺塔頭 宝厳院)と。ここから見る二月堂も、また風情がある。

「大仏殿」は世界最大級の木造建築 寄棟造で二重屋根。正面中央には「唐破風」という曲線の美しい飾り屋根がある。江戸時代の再建の際、財政事情、巨材の確保の問題により、正面幅が縮小されたという。

【「大仏殿」は世界最大級の木造建築】寄棟造で二重屋根。正面中央には「唐破風」という曲線の美しい飾り屋根がある。江戸時代の再建の際、財政事情、巨材の確保の問題により、正面幅が縮小されたという。

東大寺(とうだいじ)
奈良市雑司町406-1
TEL:0742(22)5511
(開)【大仏殿】7時30分~17時30分(4月~10月)、8時~17時(11月~3月) 【法華堂】8時30分~16時(通年)

※次回に続く

・特集「今秋、感動の体験旅へ 京都・奈良」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2023年10月号

家庭画報 2023年10月号

撮影/大泉省吾 ヘア&メイク/川代麻世〈mayostips〉取材・文/冨部志保子 参照資料/『古寺行こう(3東大寺 4興福寺 5薬師寺 10唐招提寺)』(小学館)、『奈良で学ぶ 寺院建築入門』(集英社新書)※施設・店舗は臨時休業の場合があります。事前にご確認のうえお出かけください。『家庭画報』2023年10月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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