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辻󠄀井伸行さん、グリーグが弾いていたピアノで演奏する幸福な時間

2023.09.20

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「トロルハウゲン」のグリーグの家 特別な場所で演奏できる幸せ

〔特集〕グリーグ生誕の地、ノルウェーへ 2023年5月末、英国名門オーケストラとの日本ツアーを終えた辻󠄀井伸行さんは、すぐにノルウェーへと旅立ちました。北欧最大級のアートフェスティバル「ベルゲン国際芸術祭」に招かれたのです。音楽、演劇、ダンスなどプログラムが200以上、歴史的な建物などを会場に、15日間にわたって開催されます。ベルゲンは、ノルウェーの国民的作曲家、グリーグの生誕地。辻󠄀井さんのリサイタルはグリーグが晩年を過ごした場所「トロルハウゲン」で行われました。前回の記事はこちら>>

「トロルハウゲン」のグリーグの家
特別な場所で演奏できる幸せ

「聴いてくださるかたがたの息遣いや集中力をすぐ近くに感じながら弾きました」—— 辻󠄀井さん

グリーグの家のリビングで行われたリサイタル

2023年6月3日、グリーグの家のリビングで行われたリサイタル。聴衆40人に向けたプライベートサロンのような演奏会は、夜10時半に始まった。 Villaen,Troldhaugen(ヴィラ,トロルハウゲン)Troldhaugvegen 65, 5232 Bergen,Norway

グリーグ邸のリビング

グリーグ邸のリビングで、グリーグが弾いていたピアノを、辻󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀井さんが奏でる。󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀幸せな時の流れに包まれて。

「グリーグが弾いていたピアノで演奏できるなんて......」—— 辻󠄀󠄀井さん

辻󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀井伸行が奏でるグリーグの世界

グリーグ唯一のピアノ協奏曲、イ短調作品16は、辻󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀井さんがこの十数年弾き込んできた大事なレパートリーです。さまざまなオーケストラと共演し、録音もしてきたなかで、北欧の風土に出会い、グリーグに魅了されてきたのだといいます。


今回は、ソロのピアノリサイタル。しかも、グリーグが暮らし、音楽を生み奏でた場所での演奏会です。

「前から弾いてみたいと思っていた『叙情小曲集』に初挑戦します。ノルウェーの人々に愛され、この芸術祭からの熱烈なリクエストでもあり、僕自身ずっと弾きたかった作品を、グリーグの家で、グリーグが実際に弾いていたピアノで演奏できるなんて、本当に感慨深いです」

グリーグ邸のリビング

グリーグ邸のリビング

グリーグ邸のリビング

グリーグ邸のリビング

晩年、グリーグが妻ニーナとともに穏やかな時間を過ごした邸宅のリビング。作曲家で指揮者、ピアニストとしての才能にも溢れ、北欧のショパンと称されるグリーグが愛用したピアノ。

「100年以上を経た楽器ですが、メンテナンスされ、思った以上にとてもよい状態です。こういう自然豊かな場所で、この空気を吸って、小鳥の鳴き声や自然の音を聞いて、このピアノで作曲していたんだなあと、弾きながら、いろいろなことを感じます」

ピアノ
ピアノ
30年以上かけて作曲された66もの小品からなる『叙情小曲集』は、グリーグの人生を辿るようなものなのかもしれません。

「『トロルドハウゲンの婚礼の日』はまさに、ここで書かれた曲。華やかで大好きな曲です。ほかにも、この空気感や自然、妖精などが表現された曲を選びました」

グリーグもこの場所からフィヨルドの風景を眺め、曲のイメージを膨らませていたのだろう。そんな姿に思いを馳せる辻󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀井さん。

グリーグもこの場所からフィヨルドの風景を眺め、曲のイメージを膨らませていたのだろう。そんな姿に思いを馳せる辻󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀井さん。

時を超えてつながる音楽家同士の想い

グリーグ邸での夜中のリサイタルは、わずか40名の聴衆に向けて奏でられる特別なひとときでした。

「僕の演奏会史上、おそらく最少人数だと思います。聴いてくださるかたがたの息遣いがすぐ近くに感じられて、親密で、温かな空気が伝わってきました」

ベートーヴェンのピアノソナタ「月光」で始まるプログラム。明るい夜の静寂に一筋の光が差し、樹々や水面を照らし出し波立たせていくような音色から、グリーグの『抒情小曲集』へ。甘い香りが漂うように「アリエッタ」が流れ始めます。憂いを帯びた「ワルツ」、寄せては返す波のような「愛の歌」。

集中力がグッと高まり、「妖精トロルの行進」、「夜想曲」と、物語を聞いているように、奏者も聴衆も同じ世界に入り込んでいきます。そして、「トロルドハウゲンの婚礼の日」で華やかなエンディング。鍵盤に指を走らせる辻󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀井さんの姿が時を超えて、グリーグと重なるよう。しばしの余韻の後、ものすごい拍手がわき起こり、それに応えて立ち上がる辻󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀井さんは満面の笑みです。

「グリーグが見た景色、当時のままの家の佇まい、そしてピアノ。作品が生まれたときのイメージが色濃く感じられる、貴重な経験でした。グリーグがよりいっそう好きになりましたし、またノルウェーを、ベルゲンを、訪れたいです」

演奏会の後半は辻󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀󠄀井さんの好きなショパンの作品。アンコールの最後は、リストの「ラ・カンパネラ」。鳴りやまぬ拍手で夜が更けていきました。

撮影/武田正彦 インタビュー・文/内海陽子 取材協力/ベルゲン国際芸術祭

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