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視点の転換で見えた知られざる現実とは?映画『エリザベート1878』と『ソウルに帰る』

2023.09.04

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視点の転換で見えた知られざる現実

2022年のカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品された2作品。

『エリザベート1878』

『エリザベート1878』

© 2022 FILM AG - SAMSA FILM - KOMPLIZEN FILM - KAZAK PRODUCTIONS - ORF FILM/FERNSEH-ABKOMMEN - ZDF/ARTE - ARTE FRANCE CINEMA 配給:トランスフォーマー、ミモザフィルムズ

『エリザベート1878』は同部門で最優秀演技賞を受賞している。“シシィ”という愛称で呼ばれたハプスブルク家最後の伝説的皇妃エリザベートの物語で、本作では40歳を迎えた彼女の一年間に焦点を当てている。

誰もが抱いていたイメージを覆し、これまで描かれることのなかった皇妃の素顔をヴィッキー・クリープスが見せてくれた。

コルセットをできるかぎり締め上げて、過度のダイエットを続けながら、乗馬やフェンシングなどのスポーツをすることで体重を維持するつらい日々。


若き日の自分と比較されることや衰えていく容姿に好奇の目が注がれることに感じる不快感は、年老いていく女性としても共感を呼ぶ。

『ソウルに帰る』

『ソウルに帰る』

©AURORA FILMS/VANDERTASTIC/FRAKAS PRODUCTIONS/2022 配給:イーニッド・フィルム

『ソウルに帰る』は韓国で生まれ、幼少時にフランスの養父母のもとで育ったフレディという女性が初めて韓国に滞在し、自分の原点ともいうべき実父母を探し始め、思わぬ方向へと導かれていく人生の物語。

主人公を演じたパク・ジミンは本業がビジュアルアーティストで養子の経験も演技の経験もない。それを感じさせることなく、作品のリアリティをより深めていて、繊細な内面を見事に体現している。

『エリザベート1878』
2022年 オーストリア、ルクセンブルク、ドイツ、フランス 114分
監督・脚本/マリー・クロイツァー
出演/ヴィッキー・クリープス、フロリアン・タイヒトマイスター、カタリーナ・ローレンツ、マヌエル・ルバイ、フィネガン・オールドフィールド、コリン・モーガン
URL/https://transformer.co.jp/m/corsage/
TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開中

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『ソウルに帰る』

2022年 フランス、ドイツ、ベルギー、カンボジア、カタール 119分
監督・脚本/ダヴィ・シュー
撮影/トーマス・ファヴェル
編集/ドゥニア・シチョフ
出演/パク・ジミン、オ・グァンロク、キム・ソニョン、グカ・ハン、ヨアン・ジマー
URL/https://enidfilms.jp/returntoseoul
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか公開中

この記事の掲載号

『家庭画報』2023年09月号

家庭画報 2023年09月号

構成・文/山下シオン

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