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宙乗りも披露!中村隼人さんが語る『新・水滸伝』の見どころ

2023.08.21

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中村隼人さんジャケット4万6200円 シャツ2万9700円/ともにS'YTE(ヨウジヤマモト プレスルーム)

『新・水滸伝』は市川猿翁さんの当たり役を集めた「三代猿之助四十八撰」の中では最も新しい作品で、2008年8月にル テアトル銀座で二十一世紀歌舞伎組により初演された。今回は中村隼人さんが主役の林冲(りんちゅう)を演じる。

「『水滸伝』は原作を読まれたかたならご存じかと思いますが、登場する人物、一人一人が主役のように描かれているので、まさに群像劇だと思います。『新・水滸伝』でも林冲が出ずっぱりなのではなく、それぞれに見せ場があり、普通の歌舞伎の作品とは少し毛色が違います。初演以来、林冲は市川右團次さんが演じていらっしゃるのですが、横内謙介さんが書かれた脚本は右團次さんに当て書きされていることが伝わってきます。今回、私が林冲を演じるにあたり、演出の横内さんと杉原邦生さんがどのように見え方を変えていくかという演出の変更や林冲が自分のことを“わし”といっているのを“俺”に変えるなどの細かい修正に取り組んでいます」


林冲はひと言でいえば“悪党”とされているが、隼人さんはこの役にどんな印象を抱いているのだろうか。

「悪党というのは、政治をつかさどる人間からすれば敵対する存在ですが、見方を変えれば英雄的な存在なんだと思います。林冲は、妻を失ってからは生きる意味もないと希望を持てずに日々を過ごしていましたが、仲間たちと出会うことで、再び一党を率いて闘うことを決心します。見る角度によって印象が変わる人物ではないかと思います」

スーパー歌舞伎Ⅱ『新版オグリ』

スーパー歌舞伎Ⅱ『新版オグリ』の小栗判官。©松竹

チラシに「中村隼人宙乗り相勤め申し候」とあるように宙乗りにも挑む。

「スーパー歌舞伎Ⅱの『ワンピース』や『新版オグリ』でも宙乗りは経験させていただきましたが、まだ20代の自分が今回のように銘打って演らせていただけることは、とても幸せです。歌舞伎座では一年ぶりの宙乗りとなりますので、その意味を嚙みしめながら勤めます」

中村隼人
1993年東京都生まれ。父は2代目中村錦之助。2002年歌舞伎座『寺子屋』の松王丸一子小太郎役で初代中村隼人を名乗り、初舞台。以後、古典作品で大役を勤めて研鑽を積み、新作歌舞伎『NARUTO-ナルト-』ではダブル主演、2023年2、3月には『巌流島』の佐々木小次郎役で歌舞伎以外の公演にも出演した。現在BS時代劇『大富豪同心3』(NHK)が放映中。





〔今月の歌舞伎〕



【南座】
坂東玉三郎特別公演 片岡愛之助出演『怪談 牡丹燈籠』


怪談 牡丹燈籠

人間の欲を描き、坂東玉三郎のお峰、片岡愛之助の伴蔵夫婦のやりとりが笑いを誘う三遊亭円朝の傑作怪談噺。玉三郎での上演は関西初となる。

~2023年8月27日(22日は休演)
14時開演

一等席1万7000円ほか
チケットホン松竹:0570-000-489

【歌舞伎座】
歌舞伎座新開場十周年 八月納涼歌舞伎


~2023年8月27日(21日は休演)
●第一部 11時開演
一、『次郎長外伝 裸道中』 二、『大江山酒呑童子』

●第二部 14時15分開演
一、『新門辰五郎』 二、『団子売』

●第三部 18時開演
三代猿之助四十八撰の内『新・水滸伝』中村隼人宙乗り相勤め申し候

※中村隼人さんは第二部『新門辰五郎』の山谷堀の彦造役と、第三部『新・水滸伝』の林冲役で出演します。

1等席1万6000円ほか
チケットホン松竹:0570-000-489
表示価格はすべて税込みです。
撮影/岡積千可 構成・文/山下シオン ヘア&メイク/佐藤健行〈HAPP’S.〉 スタイリング/石橋修一

『家庭画報』2023年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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