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多様な種類があるがんの放射線療法。目的や照射方法を理解し、休まずに受けることが重要

2023.08.14

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がんまるごと大百科 第8回【放射線療法編】(02) がんの3大治療法の1つとして効果を上げる放射線療法。その適応や方法はさまざまで、がんの種類や大きさ、ステージなどによって異なります。放射線療法の実際について、国立がん研究センター中央病院 放射線治療科科長の井垣 浩先生に伺います。前回の記事はこちら>>

多様な種類がある放射線療法。目的や照射方法を理解し、休まずに受けることが重要


井垣 浩先生(いがき・ひろし)井垣 浩先生

国立がん研究センター 中央病院 放射線治療科 科長。1995年東京大学医学部を卒業。2002年同大学大学院医学系研究科にて博士(医学)を取得。都立駒込病院、帝京大学医学部准教授等を経て、2014年に国立がん研究センター中央病院放射線治療科に入職。2021年から現職。

照射方法や装置には多くの種類がある


放射線療法は主に体の外から放射線をかける外照射と体の中に小さな放射線源を入れる内部照射に分けられます。外照射と内部照射は併用される場合もあります。


外照射に使われる放射線は、電磁波(X線、γ(=ガンマ)線)と、粒子線(α線、β線、電子線、陽子線、重粒子線、中性子線)に分けられ、それぞれ透過性やがん細胞を壊す作用が違います。

照射方法や装置もさまざまで、多方向から高精度で集中的に照射する定位放射線治療(SRT/SBRT)、コンピューターで腫瘍の広がりに応じた照射範囲を決める三次元原体照射(3D-CRT)、さらに照射範囲内で放射線の強度を変える強度変調放射線治療(IMRT)などがあります。

陽子線や重粒子線による放射線療法には大型の加速器が必要で、全国でも限られた施設でのみ受けられます。

「陽子線や重粒子線は放射線が集中する度合いが高く、保険適用になるがんも増えています。ただ、経過観察や再発・転移時などのフォローアップを同じ病院で受けられないこともあり、治療を希望するなら、主治医や放射線療法を専門とする放射線腫瘍医とよく相談していただきたいですね」。

内部照射は、がんのある部位だけに放射線をかけられるメリットがあり、子宮頸がんや前立腺がんなどで用いられます。甲状腺がんやリンパ腫、がんの骨転移などでは放射性物質を経口や静脈注射で体内に入れ、がんに集積させる内用療法も行われます。

外照射も内部照射もがんの部位や大きさによって適否が異なります。「そもそも放射線が効きにくいがんである、周囲の組織が放射線に弱い、といった条件では放射線療法の対象にならない場合もあります。また、治療法によっては施設基準などの縛りがあります」。

手術では組織を採取して遺伝子検査に回したり、リンパ節転移を調べたりすることが可能ですが、放射線療法ではそれができないという点もデメリットです。

「まずは自身のがんの性質やステージを知り、放射線療法が治療の選択肢となるかどうかを主治医に確認したうえで、放射線腫瘍医に意見を聞いてみるのが大切です」

【放射線療法の種類】


●がんの位置や組織型などにより放射線の種類や照射方法が異なる放射線療法の種類

国立がん研究センター「がん情報サービス/放射線治療」および取材などを参考に作成

がんまるごと大百科

1「女性の2人に1人はがんにかかる時代です」
1−1 2人に1人はがんにかかる時代、正しい情報を知りましょう
1−2 男性よりひと足早く、30歳過ぎから増える女性のがん患者。その理由は?
1−3 早期発見なら多くのがんは助かる病気。かかることを想定してリスクに備えましょう

2「5つの健康習慣を実践してがんをできるだけ予防する」
2−1 女性のがん要因として最も多いのは「感染」。がん予防につながる5つの健康習慣とは
2−2 がん予防にはまず禁煙や節酒を! 嗜好品の摂り方をチェックしましょう
2−3 がんのリスクが約4割下がる5つの健康習慣。運動を欠かさず、適正体重を保ちましょう

3「早期発見に役立つ根拠のある検診を受ける」
3−1 がん検診を正しく利用してがんによる死亡リスクを減らす
3−2 目的はがんを早期に発見し適切な治療をすることでがんによる死亡を減らすこと
3−3 国が推奨する検診を基本に自分のがんリスクに応じた検診を賢く選んで受ける

4「納得できる治療のために病院選びのポイントを知る」
4−1 自分のがんの状態について把握するのが第一歩
4−2 医療体制だけでなく、生活支援や地域連携、情報公開も選択のポイント
4−3 がん診療連携拠点病院等では医療・生活支援体制が整っている

5「診断や治療選択に欠かせない検査の重要性を理解する」
5−1 どのような目的のもと、どんな精密検査が行われるのか理解する
5−2 特定の検査だけを信頼せず、さまざまな診療情報をもとに総合的に診断していく
5−3 がんの広がりを調べることで決まってくる「病期」は治療選択の際の重要な目安に

6「病状を知り、思いを話して医療者とともに治療を考える」
6−1 現状を理解し、治療や生活の見通しを立てる
6−2 自分のがんの状態や標準的な治療法を理解することが治療選択の第一歩
6−3 自身の希望、不安や体調を主治医やほかの医療者に率直に伝える

7「体調を万全に整えて手術による合併症を減らす」
7−1 がんの「手術」を知る。近年は体の負担や合併症の少ない低侵襲手術が主流に
7−2 がんの手術を安全に受けるために。患者が事前に取り組むべきことは
7−3 がんの手術後、翌日から始まる「離床リハビリテーション」とは?

8「臓器と機能を温存でき、痛みがない放射線療法」
8−1 がん種やステージによっては治療効果は手術と同等。手術や薬物療法と併用も
8−2 目的や照射方法により多様な種類がある放射線療法
8−3 放射線療法の流れと副作用(8/15公開予定)
取材・文/小島あゆみ

『家庭画報』2023年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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